第622問(2017年10月29日 渡辺竜王-近藤誠也五段戦) |
(問622-1) 先手渡辺竜王、後手近藤五段で戦型は角換わり腰掛け銀。双方が銀を腰掛ける昔ながらの形から先手が▲4五歩と位を取り、▲4六角〜▲4八飛の形を選んだ。そして▲2五桂と跳ねて戦端を開く。その後、ギリギリの攻防のまま中盤戦が続いている。下図は後手に△3四香△2七桂と使わせているだけに先手も十分そうに見えるが、(感想戦によると)この数手前にチャンスを逃し、混戦になり始めたところ。ここで後手の指した一手は何か?受けの手に限り、さらに先手の飛車も角もすぐに追えないということになれば、指しておきたい手は一つしかないとも言える。後手近藤五段の次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問622-2) 終盤、後手も受けだけでは切らせられないと見て、△2五馬から△6九馬の攻めを見せた。そして△4五桂とさらに金取りと(角が動いた時の)△5七への成り込みを狙って跳ねたところ。様々な攻めや受けが考えられそうなところで、この局面の最善手は難しそうだ。ここで指された先手渡辺竜王の指した次の一手は何か? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問622-1解答)「玉は上部に-安定させて相手の手を待つ-」 この受けの手筋でも頻繁に出題しているように、ここでも△2二玉が正解。△1一玉のままでは、先手の一番良いときに、▲1三銀や▲1三歩、▲1四歩など上部を押さえる手を指されてしまう。もちろん、上部の駒が皆相手の駒だったら、逆に一番下にいて、△1二歩とか△2二金とか△2一玉とか下で凌ぐ手を考えるところだが、ここでは馬や成香が心強い。 本譜はこの後も難しい攻防が続いた。そして、後手も攻め味を見せて第2問へと続いていく。 |
(問622-2解答)「玉の側から馬を追う」 ここで渡辺竜王の▲7九金が馬を追う受けの勝負手。△6九馬はここに居られるだけでも、常に△8六飛▲同歩に△8七歩を見られ脅威だ。そこで逃げてくれるなら▲7九金は指したい一着。但し、△8六飛に▲同歩とは取れないし、△7九馬▲同玉△3七桂成と来られるのも気になる。実際、このような馬を終盤では追えないことも多いので、その局面ごとにしっかり読みを入れる必要はある。もちろん、金を持っていて攻めに不安ないなら、▲7九金打や▲6八金打と一枚入れておくのが一番しっかりした受けと言える。 本譜は△2五馬と逃げたが、これがどうだったか。▲3六金と味良く金を使われ一気に先手の勝ち筋に入った。最後、後手も飛車を切り一手差に詰め寄ったが、そのまま後手玉は即詰み、先手渡辺竜王の勝利となった。 なお、最終局面から先手の持ち駒になっていた飛車を外し長手数の詰みに変えて作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。 |
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