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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年1月15日出題)

第632問(2018年1月14日 山崎八段-青嶋五段戦)
(問632-1)
先手山崎八段、後手青嶋五段で、戦型は相居飛車。初手▲4八銀△3四歩に▲3六歩の出だしで、後手も飛車先を伸ばし、定跡にはない手将棋となった。その後、後手は横歩を取り、代わりに先手は早繰り銀風に銀を繰り出し、難しい中盤戦が続けられた。下図はその途中。まだ本格的な戦いは起こっていないが、どちらがより良い形で戦端を開けるかというところで、後手は△5一銀右と陣形を固めた。ここで先手はどのように指すべきか。何かをすぐに受けるということではないが、戦いを始める前に解消しておきたい一着と言えば難しい手ではない。先手山崎八段の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問632-2)
先手が巧みな構想で中盤戦を有利に進め、終盤へ入った。しかし終盤へ入ってから後手も必死に食らいつき、形勢不明の局面へまで持ち込んでいる。今、△3八銀と飛車取りに銀を打ち、飛車を追って△4七銀引成と玉を追い詰めようとしているところ。ここで先手はどうしたら良いか?後手玉は▲8一飛と打ち、次に▲6一角から▲7二角成と成れば詰めろだが、二手かかり、さらに場合によると△7一金打も気にしなければいけない。ここで指された先手山崎八段の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問632-1解答)「キズを消す合わせ歩」
ここで山崎八段の指した手は▲8七歩。これは将来この地点に駒を打ち込まれるのを防ぐ合わせ歩と言う手筋。攻める時、飛車先に打つ継ぎ歩とは違い、受けの一着で、戦いに入る前に使うのがポイント(戦いに入ってしまうと緩手になりやすい)。また、△8七同歩成▲同銀の後、再度△8六歩と叩かれても大丈夫かどうかもしっかり読んでこの歩を打つ必要がある。

本譜はこの後、後手の動きに乗じて先手が反撃し有利に、しかし後手も先手玉に食い付き、形勢不明の終盤へと入り第2問へ続いていく。


(問632-2解答)「守りに徹した飛車の使い方」
飛車を取られると、この裸玉では飛車の王手が厳しい。また▲2五飛と攻めに使えるように飛び出すのは自然だがその瞬間が甘く、この飛車を使う為にはもう一手▲2一飛成と成り込まなくてはいけない。そこで飛車を攻めに使うのを諦め、▲2八飛と受けに使うおうと一つ浮いたのが実戦。△4七銀引成から玉は追われるが、八段目に飛車の利きがあるのは心強く、実際、実戦もこの飛車の利きでピンチを脱している。

本譜はそれでも後手の攻め、先手の受けとギリギリの攻防が続いた。しかし最後は、先手玉が詰まないのを見切って後手玉に詰めろをかけ、先手山崎八段の勝利となった。
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