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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年1月22日出題)

第633問(2018年1月21日 佐藤康光NHK杯選手権者-斎藤慎太郎七段戦)
(問633-1)
先手佐藤NHK杯選手権者、後手斎藤七段で、戦型は先手の矢倉に後手の急戦形(左美濃右四間)。先手が2筋の歩を角で切った手に△4四角とかわし、すぐに2筋に歩を打たなかったのが研究上のうまい手順でこの後さらに角銀交換になり後手が有利を拡大していった。
下図はその終盤、飛車と金銀香の三枚換えで後手優勢。ただしこの局面は3三の地点が開いており、このままだとすぐに▲2二銀と打つような攻めもあり危険だ。ここで指された後手斎藤七段の指した一手は何か?駒得を生かし陣形をしっかりさせる一着は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問633-2)
上図から先手も粘り、攻防に▲6六角を打ち、今▲3三銀と打ち込んだところ。この手は実は詰めろになっており「実戦の詰み」で出題している。△6五銀と龍を外せば詰めろは解除されるのでそれでも良さそうだが人間的にはもっと安全な一着がある。ここで指された後手斎藤七段の指した一手は?もっとも効率よく、しかもしっかりした受けは何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問633-1解答)「陣形を強固にする金」
△5一金とはじいても△2二△3三の地点は変わらずかえって受けづらくなる。ここで斎藤七段の指した一手は△3二金打。これがしっかりした一手だった。△3二銀と引くのは薄すぎるとしても△3二銀打と投入しても▲8一飛成から▲1五桂と攻められた時に金銀の違いが顕著に出る。この金で後手陣が固くなり、後は△5七桂成から切れないように攻めれば良いというわけ。

本譜は先手も▲6六角の攻防手からなんとか後手陣に食い付こうと▲3三銀と打ち込んで第2問となっている。


(問633-2解答)「安い駒で角の利きをさえぎる」
ソフトによると、△6八金から飛車を精算し、△6七銀打〜△5八飛まで決めて△3三金と銀を取ればこの金を取れないと言う勝ち方を示すが、それは人間的には危険な決め方に見える。実戦、△4四香と角道をさえぎったのが分かりやすい受け方。▲3二銀成と一枚金をはがされても△同金でまだ固い。結局▲5七角と成桂を取るよりないが、△同銀成と張り付き先手は振りほどけない。

本譜は後手玉が固く、先手玉が一手一手の寄りとなり、最後は飛車の王手をしたところで、佐藤NHK杯選手権者が投了、後手斎藤七段の勝利となった。

なお、この上にも書いたように香を受けないと後手玉は詰む。不要な桂と歩を相手の持ち駒にしたが、それ以外は一切手を加えていないので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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