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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年6月25日出題)

第654問(2018年6月24日 木村九段-横山六段戦)
(問654-1)
先手木村九段、後手横山六段で戦型は横歩取り△3三角戦法。先手は▲5八玉の青野流に構えたが、すぐに定跡からは外れ難解な中盤戦へ突入した。そして、先手は相手の銀を一旦は端に追いやるも、後手がその銀を活用するようになると、後手有利へと進んだ。10分弱の感想戦では下図の局面で後手良し、以降の検討は行われなかったが、実戦はここからしぶとい受けが見られた。ここで指された先手の次の一手は何か?後手の攻めも考え、実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問654-2)
駒割りは互角でも陣形の差で後手有利。しかし、終盤はちょっとでも間違え、あるいは見落とすとすぐに逆転する。下図は△3四歩に一旦▲2六角と引いたところだが、ここで指された後手の次の一手は何か?先手からの攻めを考えて、しっかりと受けておく。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問654-1解答)「受け師の金の使い方」
角も銀もタダで取られてはダメなので、▲7九金と打つのはひと目、というかそう受けるよりなさそうに見える。しかし△7六銀不成と来られた時、次の△8七歩成が受からない。そう読んでしまいそうだが、ここで木村九段は▲8九金と一路寄せて打ち、△7六銀不成に▲9八金という受けを披露した。これは指されてみればなるほどだが、なかなか思いつかない妙手順な金の使い方。

但しこれでも先手の苦しさは変わらない。本譜ここでじっと△9四歩が好手で、▲6五桂と勝負に動いた手に乗って後手優勢のまま終盤戦へ入った。


(問654-2解答)「相手の攻めを見越した受け」
ここで実戦は△6二銀。一瞬、何を受けたのかと思うような一着だが、この手を指さないと▲5五銀と言う手があることに気づく。もっとも、(△6二銀と受けずに)▲5五銀と来られても、まだ△7五角と5三に利かしたまま逃げることは出来るので、すぐに潰れるという訳ではないが、▲5五に銀を出られ殺到の順を見せられると形勢は詰まりそうだ。この先手からの攻めを未然に防いだのが△6二銀で、後手勝利まであと少しとなった。

本譜、先手の攻めは▲2四歩〜▲2三歩成〜▲2一飛。対して後手の攻めは△8六歩〜△8七歩成△9八と。速度はあまり違わないが、後手の攻めは金銀を取りながら迫っているため、効率が良い。そして結局最後は、その取った駒で先手玉を長手数の即詰みに討ち取り、後手横山六段の勝利となった。

その長手数の詰みは27手詰。余詰めは収束の5手前にしかないという極めて珍しいきれいな詰みなので、参考までに「今日の実戦の詰み」として載せたのでどうぞ。
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