第672問(2018年10月28日 谷川九段-稲葉八段戦) |
(問672-1) 先手谷川九段、後手稲葉八段で、戦型は角換わり腰掛け銀。最近流行の▲4八金△6二金型で仕掛けをうかがい、▲4五桂と跳ねて戦いが始まった。先手の攻めが細いため、攻めがつながるか受けきれるかという戦いが続いており、下図はその最中。今、一歩を取りに▲1五香と走ったところ。自然な△同香は、▲3三歩成△同桂に▲3四歩でこの歩が取れない(どう取っても飛車が使え攻めがつながる)。そこでどこをどのように受けたら良いか。ここでの後手の指し手は何か? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問672-2) 先手の攻めも簡単には切れない形になったが、飛車を渡した為、攻め合いの速度計算もする必要が出てきた。今、△1九飛と王手をされたところ。王手なのでそれを防ぐ一手ではあるが、防ぎ方はいろいろある。ここではどのように考え、どう受けるべきか。先手谷川九段の指した次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
|
(問672-1解答)「飛車筋を連打で止める」 △2八歩と叩き、▲同飛に△3六桂とか△3九角とか言う手筋も実戦では良く出てくるが、ここでは飛車の利きを先手で止めないと支えきれない。そこで飛車頭を連打で止めたのが実戦。すなわち、△2八歩▲同飛△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△2五歩だ。この最後の歩で飛車を逃げてしまうと、△1五香で攻めを受け止められてしまう。 本譜は図の瞬間に▲7四歩を利かせ△7二金(感想戦では取った方が良かった)に▲1二香成と踏み込み、次第に先手ペースになっていった。 |
(問672-2解答)「外堀で手数を稼ぐという考え方」 飛車打ちに対し、金底の歩(図の場合は香)は固い受けではあるが、金頭に歩を叩かれる場合は、しっかりした受けという訳ではない。問題図では▲8八玉や▲6九香などの受けも考えられ、どれが良いか判断しなければならないが、(▲3四の歩を払った後の展開として)▲8八玉は△7六桂や△8六桂を気にしなければならないし、▲6九香はしっかりしているようだが、いつでも△2五角などの攻防の角を打たれる可能性がある。この▲4九香は、△4七歩〜△4八歩成〜△4九飛成が来る前に攻めきってしまおうという手だ。 本譜は「両取り逃げるべからず」の時に△4七歩を打ち△4八歩成まで進められたが、やはり外堀が遠かった。このあと後手も頑強に粘ったが、緩急織り交ぜた攻めで後手玉を寄せきり、最後は一枚も余らないきれいな即詰み、先手谷川九段の勝利となった。 その最後の即詰みの局面を余詰めだけ消しほぼそのままの状態で出題したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。 |
先週の問題へ/来週の問題へ |