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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年11月5日出題)

第673問(2018年11月4日 近藤誠也五段-屋敷九段戦)
(問673-1)
先手近藤五段、後手屋敷九段で、戦型は角換わり腰掛け銀。ただ先手が1筋の位を取った為、手が遅れ流れをゆっくりにしたいのに対し、後手はそれをとがめるため早めに仕掛けた。その象徴的な一手が▲6八角の自陣角で局面をまとめようとしたが、後手もそれを許さず2筋を平凡に受けずに反発した為、今度は先手が動かざるを得なくなってきた。今、▲5五銀左とぶつけたところ。ここで後手はどうしたら良いか?ここでの先手の狙いは▲5四銀ではなく▲6六歩だ。桂を取り切られる前に何かしなければならないが、ここで指された後手の次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問673-2)
第1問から約10手進んだ局面。▲6四歩の取り込みを保留して▲5九角から▲2四角と使った手が秀逸だった。しかしそれも局後分かったことで、放送中はこの局面はまだ後手が受けきれるようにも見える。ここでの飛車取りは当然このように受けるべきという基本の手筋がある。後手の指した三手一組の手筋は何か?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問673-1解答)「タダで取られない形にして弱点をなくす」
実戦の進行は、△5五同銀▲同銀に△7一飛だった。△5四銀は取ってもらえれば△同金で▲7二の弱点はなくなるのだが、▲6六歩を打たれてしまう。本譜のように一旦△5五銀と取るのは▲7二銀が残り辛いように見えるが、▲6六歩には△5四歩で銀を取れるのを見越している。もっともそれでも駒を引き込むので形勢にそれほど差はないようだ。この後、難解な中盤から終盤戦に入っていく。

本譜は△5三の地点が開いたのと、飛車の位置の悪さを目標に▲5九角から▲2六角と使い第2問へ続いている。

(問673-2解答)「大駒は近づけて受けよ」
飛車を逃げると、▲6四歩の取り込みが利き、単に△4四銀はすぐに▲4五歩が来る。そこで一旦△3五歩と打ち、▲同角に△4四銀打としたのが実戦で、これが基本手筋の「大駒は近づけて受けよ」だ。これなら先手で角道を止める事が出来、▲4五歩の暇がない。

本譜は▲1七角に△3五歩でしっかり受けたようにも見えたが、▲4五歩からの継続手がうるさかった。さらに一番良い時に▲6四歩の取り込みも入り徐々に攻めがつながっていき後手が苦しくなっていった。そして最後は受けが利かなくなり攻め合いにしたが、先手の明快な一手勝ちがはっきりし先手近藤五段の勝利となった。

なお、この将棋の最終盤から詰めろではなかったものを詰むように修正したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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