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NHK杯に見る受けの手筋

(2018年11月19日出題)

第675問(2018年11月18日 阿久津八段-久保王将戦)
(問675-1)
先手阿久津八段、後手久保王将で、戦型は角道オープン四間飛車。その後、後手はすぐに向かい飛車に振り直すと角道が開いたまま早い段階で仕掛けた。軽い仕掛けだったが、このさばきを押さえ込むのは容易ではなかった。下図は、先手が後手のさばきを封じようとしているのに対し後手はなんとか手にしようとしているところ。今、△6四角と打った局面で、次に△3七桂成がある。そこで、ここではどのように受けるべきか。先手阿久津八段の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問675-2)
後手が、久保王将らしいさばきで先手の受けを突破し優勢になった。△5七歩と垂らし、部分的には先手陣に受けはない。そこで今、▲5三桂と攻め合いに活路を見いだそうとしているところ。ここで後手はどうすべきか。勝ちまでの明快な道順を読み切りたい。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問675-1解答)「基本の受け-角筋を避ける」
部分的には▲5五歩と止める手もあるが、自分の角道も止まってしまう。となると、3七の地点を受けるには角筋を避けながら飛車を動かす▲3八飛がもっとも自然。

ただ本譜は△2四歩と桂取りを見ながら飛車先を伸ばしてくる手があり、先手の苦労する局面は続いた。そして単純な攻め合いは美濃が遠いと見て苦心して手を稼いだが、結局飛車の取り合いになった。その後、と金を活用し、後手優勢の最終盤が第2問の局面だ。

(問675-2解答)「受けの例外と終盤の一手争い」
銀の割り打ちとか、この問題に出てくるような桂による両金取り。こうした手に対しては、片方の金を寄せ玉側に近づけるのが普通で7〜8割はそれが正解になる。ここでも△5一金左が悪い手と言う訳ではないが、ここでは勝ちが遠のく疑問手と言えるかもしれない。と言うのも、手損なく▲6一桂成△同金となれば、▲4九金のような手もあり、逆に手を延ばされて、▲5三歩成を間に合わされてしまうかもしれないからだ。
そこで、ここでは手抜きが正解で実戦。△5八歩成と成って明快な一手勝ちを読み切りたい。

本譜は一旦は▲6一桂成と金は取れるが、△同銀で詰めろが続かない。▲5三歩成の形作りに△6九とと下の金を取るのが筋でこれで受けはない。最後はきれいに先手玉を詰め、後手久保王将の快勝譜が出来上がった。

なお、この将棋の最後の詰みを三つの駒の配置を変えただけ(△6四角を持ち駒に△4七とを△4九と、▲5七歩)でちょっと難しくなったので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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