第691問(2019年3月17日 羽生九段-郷田九段戦) |
(問691-1) 本局は決勝戦。先手羽生九段、後手郷田九段で戦型は角換わり腰掛け銀。先手の▲4八金▲2九飛型に対し、後手は△6三金と上がる形で対抗した。そして先手からの▲4五歩の仕掛けに後手も△7五歩と反撃し、全面的な戦いに。下図は▲4三歩の垂らしに、△4七歩▲同金を利かし、△7七歩と叩いたところ。感想戦では、(△7七歩と打たずに)△4三銀と手を戻しておいた方が良いとの話も出たが、ここからの進行はどのようになっていったか。先手の指した次の一手は? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問691-2) 最終盤、まだ難しいかと思われる局面だが、ここで決め手があった。感想戦で郷田九段が見落としていたと言っており、その手があるなら▲4二銀は取らないといけなかったようで、この一発で先手の勝ちが明快に。ここで指された先手羽生九段の指した次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
|
(問691-1解答)「基本は拠点を残さない」 桂の利きを利用し△7七歩と金頭に打つような手の場合、元の桂を取り切れれば金をかわしておく手もあるが、精算してしまった方が良いことが多い。特にここでは解説でも言っていたが、後手の水面下の理想の進行として、▲8八金と寄ると△3八角から金を取り、△8七飛成▲同金△7八金の即詰みという筋がある。もちろんこれだけではなく△7七歩が残っていると常に先手陣は危ない形なので△7七歩の拠点は残さないのが基本だ。 本譜は7七で精算した後、再度の△6五桂に▲同銀から▲5六桂と反撃、難解な最終盤戦に突入した。そして決め手の出現する第2問の局面へと進んでいる。 |
(問691-2解答)「盤面を広く見た攻防手」 7筋だけを見ていると銀を引いても次から次へ攻められそうだが、ここでの▲3五桂がまさに次の一手に出てくるような妙手。このままの状態で後手玉は詰めろ、△同歩ならもちろん▲2四飛と出れば王手角取りで7七への利きを詰めろを続けながら解除することが出来る。 本譜は仕方なく△3五同角と桂を払ったが、▲同歩と角を取った手がほとんど受けなし。最後は先手玉に詰みのない状態で後手玉必死、先手羽生九段が勝利し第68回NHK杯戦の優勝者となった。 なお、この将棋の終局直前の局面から先手玉が詰むように修正して作成したので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。 |
先週の問題へ/来週の問題へ |