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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年3月11日出題)

第690問(2019年3月10日 郷田九段-森内九段戦)
(問690-1)
先手郷田九段、後手森内九段で戦型は相居飛車戦。先手が角換わりを志向したのに対し、後手が角を交換せず銀を繰り出した為、力戦調の相居飛車戦となった。そして、銀冠を目指した後手に対し、自陣角を打ち駒組みをけん制、しっかりした陣形でも角を手放した先手対バラバラだけれど角を手持ちにしている後手という状況で駒組みは進んで行った。中盤から終盤に入るところでは、先手の動きに後手が丁寧に受けるという展開が続いており、下図はまだその途中。今、▲6一銀と割り打ちを打ったところで、部分的には後手が大変そうに見える。しかし正確に指せばまだ互角の難しい戦いだ。ここで指された後手森内九段の指した次の一手は?この前の手を知っていれば当然のやさしい一着となるが、難易度はこの局面だけを見ている。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問690-2)
最終盤、△8五桂と打ち、攻守が変わったかとも思えたが、下図△8九角はおかしかったのかもしれない。しかし疑問手もとがめないと好手に変わるのが将棋だ。ここではどのように受けると△8九角が疑問になるのか?先手郷田九段の指した次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問690-1解答)「要の駒との二枚換え」
この少し前に△6四歩と打っているので、当然△6五歩と桂を取る一手だ。ただ、初めてこの局面だけを見たのであれば、△6二飛と逃げ、▲7二銀成△同飛▲5三桂成の局面も考えるかもしれない。しかしやはり桂を成られた局面ははっきり後手不利で、ここは△6五歩と桂を取って勝負するしかない。

本譜はこの後、飛車を取り、▲2二飛と打ったが、後手も△4二角と攻防に打ち、そこで▲7七銀と引く、虚々実々の駆け引きが行われた。そして難解で互角の戦いのまま攻め合いとなり第2問の局面へと進んでいる。

(問690-2解答)「金底の歩岩より固し」
▲7九金と引いて、△6七角成なら▲6八銀でうまいが、平凡に△7七桂成と銀を取られると、▲8九金と角を取れない(詰んでしまう)。という訳で実戦▲7九歩と打つのが「金底の歩岩より固し」の格言通りでしっかりした受け。森内九段が何を読み間違えたのか定かではないが、感想戦では単に△7七桂成▲同金△8八角と打っておけば、以下▲7八金△9九角成でまだ長い勝負になるという感じだった。

本譜は△7七桂成▲同金の後、(▲7九歩がある為)この筋から攻める手がなくなり、結局△3六歩とこちらからの攻めになった。しかし先手の▲3二とからの攻めの方が早く先手優勢に。それでも頑強に受け続ける後手だったが、最後は後手玉を即詰み、先手郷田九段の勝利となった。

なお、この将棋の即詰み局面から少し難しい詰みに修正して作成したので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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