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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年3月4日出題)

第689問(2019年3月3日 羽生九段-丸山九段戦)
(問689-1)
先手羽生九段、後手丸山九段で戦型は一手損角換わり。先手は早繰り銀、後手は腰掛け銀にして、先手の早い動きから、後手は盛り上がる形で駒組みは進んで行った。戦いは、先手の位取りに反発する歩に対し、後手は手抜きで単桂を跳ね、銀との交換を果たす。そしてその銀を△3九銀と打ち込んだのが下図。この段階で飛車を取られるのはまずいのでどこかへ逃げるしかない。ここではどこへ逃げるのが良いか?先手羽生九段の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問689-2)
終盤に入り、先手の強烈な攻めがヒットした。下図は先手優勢。今、▲5三金と寄り、次に飛車取りと▲4三歩成を見ている。ここで後手はどのように凌いだら良いか?実は見ている時は、進行した実戦の一手かと思っていた。しかし、感想戦では他に二つの手が検討されいろいろな受けがあるものと感心。もっとも厳密に言えば、どれも受け切れてはいないのだが、いずれも正確に指さなければ先手も勝ち切るのは容易でない。ここでは受けの手として実戦の手とその感想戦で話された二手を問う。しぶとく受ける方法としてどのような手段があるか?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問689-1解答)「駒損をせず、かついじめられない所へ逃げる」
▲3八飛△4九角▲3九飛△5八角成は一番まずくこれは後手優勢。▲2六飛と上に逃げのはこれで飛車が自由に動けるならありそうだが、△3五銀と出られるといじめられながら拠点の歩を払われる可能性がある。そこで実戦は▲1八飛。これがもっとも普通で、△2七角と打たれると飛角交換は避けられないが、これなら駒損せずにここで攻めに回れる。

本譜も(△2七角に)▲4六桂と打ち、△4五桂に▲5四桂から▲7一角と鋭く踏み込んだ。後手は飛車を取る順が回らないうちに攻められ、不利になり第2問の局面へと進んでいる。

(問689-2解答)「受け方の種類」
実戦は△4四銀。▲4三歩成とと金を作られてはダメそうなのでこの一手かと思って見ていたが、感想戦では他の手段も検討された。つまり、実戦の進行、▲6二金△同玉に▲4三飛が厳しかったこともあり、第2の手段として△4二歩。これはなるほどの一着で、六枚落ちの指導対局では「垂らし歩には歩で受ける」と頻繁に言っているのにこれは思い付きにくい一着。また、△1二飛と逃げる手も検討された。▲4三歩成に△6一玉。ただ、いずれも正確に指されると先手良し。それでもいろいろなパターンを知っていればその局面では有効な手も出てくるので幅広く覚えておきたい。

本譜は最後、問題集に載っているような必死がかかり、先手羽生九段の完勝で終局。手数も短く、持時間が残るほど早く終わり感想戦が30分以上あった為、いろいろな受けも検討された。こうした感想戦を聞いているといろいろあるもので、時間いっぱいの熱戦とは別の意味で面白い。
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