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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年2月25日出題)

第688問(2019年2月24日 郷田九段-広瀬竜王戦)
(問688-1)
先手郷田九段、後手広瀬竜王で戦型は矢倉模様の相居飛車戦。先手は▲7七銀〜▲7八金と最初はしっかり矢倉に囲ったが、後手の△7三桂という急戦調の動きに対応して▲3七銀から▲4六銀と動き、早い段階で駒がぶつかった。その後、一瞬の隙を見て後手が技をかけに行った。下図はその直後。後手からは△5七桂不成の両取りがあり、▲5八金と平凡に受けると、△5五角で決まってしまう。そこでどうするか?△5七桂不成を受けつつ、他の技も喰わないようするにはどう受けるべきか?先手の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問688-2)
終盤に入り、後手は先手玉への迫り方を間違えたのかもしれない。先手が優勢の終盤戦になっている。下図は、今▲4四桂と打ったところでほとんど必死級の厳しい手だ。こうした場合、詰ます以外方法がないことも多いのだが、ここで広瀬竜王はしぶとく受けに回った。ここで指された後手の次の一手は何か?特に三手目が難しいのでここからの実戦の進行を三手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問688-1解答)「二つの筋を同時に消す受け」
5七の地点を受ける為八段目に駒が動くと△5五角が生じる。この二つの筋を同時に受けるには、▲4六角か▲6六角かいずれにせよこのラインに角を打つしかない。しかし▲6六角は△3三角と合わせられるとかえってキズを大きくしてしまうので、事実上▲4六角と打つしかないことになる。

本譜はこの後、「後手に誤算があったのでは?」と解説に言わせるほど先手ペースに見える進行となった。すなわち▲7七桂とぶつけた手から▲6五桂と天使の跳躍で右銀との交換にまで進んだのだが、後手も飛車先を破り実際は難解だったようだ。しかしその後の後手の攻めに誤算があり先手優勢の終盤戦で第2問の局面へと進んでいる。

(問688-2解答)「歩で玉周辺を固める」
実戦の進行は、△4四同金▲同銀に△4二歩だ。▲4四桂は取るしかないが、最後の△4二歩がしぶとい。局面は悪いので、正確に攻められれば負けかもしれないが苦しい時の粘り方として参考になる。このような歩の受けは、たとえば先手の2〜3筋に歩が利かないなら、△3一歩なども打って、歩だけの守りでも意外に耐久性はある。もちろん、通常は金銀で守った方が固くはなるのだが、攻め駒(金銀)との交換では等価。しかし歩の場合は、相手に取られても歩なので相手もむやみに交換はしてこれないという訳だ。

本譜はこの後も、攻守を織り交ぜながら後手も勝負形に持っていったが、冷静に対処した先手が最後は後手玉を即詰みに討ち取り、先手郷田九段の勝利となった。

なお、この将棋の即詰み局面からかなり難しい詰みへと修正して作成したので「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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