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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年2月18日出題)

第687問(2019年2月17日 豊島王位棋聖-羽生九段戦)
(問687-1)
先手豊島二冠、後手羽生九段で戦型は角換わり腰掛け銀。最近はやりの▲4八金▲2九飛(△6二金△8一飛)から高度な手渡しのやり取りが行われ、後手が△6五桂と仕掛け、これに先手が桂交換を挑み局面は動いていった。その後、先手の玉型が特異なため、形勢判断、仕掛けの難しい局面は続いたが、下図は今▲2六桂と控えの桂を放ったところ。ここで後手は▲3四桂と跳ねられても△3三玉で凌げると見て、△6五歩▲5七銀に△5六歩▲同銀右△3八角と攻め駒を攻めていった。しかし感想戦では受ける手を話しており、その方が良かったのでは?というニュアンスでもあった。実戦の手ではないが、(△6五歩▲5七銀の後)の▲3四桂跳ねをしっかりと受け止める手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問687-2)
終盤に入っても互角の戦いは続いていた。今、▲3四歩と取り込んだ所で部分的には非常に厳しい。普通の応接、つまり△3四同桂と取るのは▲同桂△同銀に▲4四角の王手金取りがかかる。そこで、手抜いて攻める手や、▲同桂の時、逃げる手などいろいろ考えてしまうが、実戦で羽生九段の選択した手は何か?実戦の進行を5手まで。

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問687-1解答)「覚えておきたい異筋の受け方」
△4三銀とか△3三銀とか受けるのは自然だが、▲4五歩や▲2五桂と攻められると受けになっているのか分からない。そこで実戦は攻め駒に働きかけた訳で見ている時は普通に見えたが、感想戦では△4三金が示された。「金は斜めに誘え」を自ら指すだけに異筋と言えるが、この局面では一番しっかりした受けとなっており、本譜より良かったようだ。このような受けも知っていれば使える時があるかもしれない。

本譜はこの後、後手に馬を作られ飛車をいじめられるような展開になりそうだったが、その間隙を縫って後手玉に襲いかかり第2問の局面へと進んでいる。

(問687-2解答)「駒の損得より玉の安全度を優先」
実戦の進行は、△3四同桂▲同桂△同銀▲4四角に△3三歩と進んだ。最も自然な先手の読み筋通りの進行なため、王手金取りをかけられてはまずいのかとも思えるが、こうして金を捨てても馬を遠くにやり、一時的に玉型がしっかりしたのが大きい。玉の側の金銀をタダでやったり、攻め駒の桂を残して置くのでは保たないと見ての考え方だ。

本譜は実際これでも互角の難しい勝負は続いた。最後まで形勢は少しずつ揺れ動いたようだが、後手の攻めが筋に入ると、先手も後手玉に攻めかかったが一手足りず、後手羽生九段の勝利となった。
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