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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年9月16日出題)

第715問(2019年9月15日 豊島名人-村山七段戦)
(問715-1)
先手豊島名人、後手村山七段で戦型は相矢倉。但し(先週と同じように)昔からある3枚の金銀でガッチリ囲うのではなく、お互いが4筋(6筋)の位を取り▲4七銀(△6三銀)の形で駒組みは進められた。駒組みが頂点に達すると、先手が2〜3筋から動き、これに乗じて後手も△8六歩から△5五歩▲同歩△同角と先手陣を乱した。そして下図、今▲3四歩と打ったところ。銀取りなのでどちらかへ逃げるしかない。どちらが正解、と言うよりも、どのような考えでそちらへ逃げるのかを考えてもらう。ここで指された後手の次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問715-2)
難しい中盤の折衝をへて終盤戦へ入った。下図は▲2二歩と打ち、後手の攻めを誘っている。ゆっくりしていられない後手も△8五歩から△9五歩と攻めた。これにどうするか?自然に▲9五同歩と取っても、あるいは解説でも言っていたが手抜いて▲2一歩成とやっても良さそうだが、実戦は受けの手筋の一着だった。先手が指したその手筋の一手とは?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問715-1解答)「戦う場所を見極める」
2筋をしっかり受けるなら△2二銀とこちらに引くことになるが、そうするとこの銀はもう永遠に使えそうもない(飛車先を守るだけの銀となる)。ここは盤面全体を見て△4二銀とこちらに引きたい。▲2四歩△同歩▲同銀と来られると2筋は破られるが△8五歩から△9五歩、さらに先手の玉頭を攻め、攻め合いを目指せる。棒銀で来られた時も同じで、初級者のうちは△2二銀でしっかり守ることを覚え、初段を目指す時には、盤面全体を見て、戦う場所を見極めてどちらに引くか考えるようにしたい。

ただ本譜は2筋を破らせる訳でもなくさらに複雑な手順だった。▲2四歩に△5六歩と叩き▲同飛と飛車の位置をずらして△2四歩。そのため、先手は歩得を主張し銀を引き上げ駒は中央でぶつかった。そして難解なまま第2問へと続いている。

(問715-2解答)「先にかわす手筋」
ここで▲8八銀と引いたのが手筋の一着。狙いは単純で△9六歩の取り込みに▲9二歩〜▲9三歩を用意したということ。このように先にかわしておく手は実戦は良く出てくる。問題として出されればやさしいが、実戦の詰みと一緒で複雑な実戦の中でそれを見つけるのは難しい。普段の勉強の他に、驚いた手、感動した手を多く心にとどめておくことが必要なのだろう。

本譜は先手有利の終盤戦だったが後手も先手玉に迫り、放送時間いっぱいの熱戦に。しかし最後は後手玉必死、先手玉詰まずとなり先手豊島名人の勝利で終局した。
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