将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2019年9月30日出題)

第717問(2019年9月29日 斎藤王座-橋本八段戦)
(問717-1)
先手斎藤王座、後手橋本八段で戦型は相穴熊。後手は△5三銀型から三間へ飛車を振り、対する先手は相手の△9二香を見て居飛車穴熊を選択した。その後、どのように戦端を開くか難しい中盤戦になったが、先手が細かく動き、さらに飛車先の継ぎ歩が鋭い攻め手順で先手有利に。そして下図、先手はさらに7筋にアヤを付け今▲7四歩と取り込んだところ。ここで後手はどうすべきか。大きな一本を取られてはいるがまだまだこれから。局面は漠然としていても有段者ならまずここに手のいく箇所がある。後手の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問717-2)
後手が何とか局面を収めようとしているのに対し、先手は次から次へ攻めを繰り出し休ませない。下図は飛角交換でも桂得を果たし先手優勢。今△7四飛と一歩を取りながら▲7四の歩を払ったところ。この局面、▲7八の金が浮いていることに注意。これを見落とすと逆に一手で終わってしまう。ここで指された先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問717-1解答)「懐を広げる受けの急所」
ここは△6四歩と突きたい。具体的にすぐに何かを受けたという訳ではないが、△6三金から△7二飛を見せると同時に▲8六角に対しても先に受けている形。また先手がゆっくりしていれば、△6五歩から△6六の地点は攻めの急所ともなる。

先手がこれ以上玉を固められないのに対し、後手はやりたい手がたくさんある。と言うことでここから先手は動いた。▲2五歩と言う再びの継ぎ歩に▲9五角の揺さぶり。その後飛車を切り角を成って先手優勢のまま第2問へ続いている。

(問717-2解答)「優勢な時は平凡な受けで」
実戦、▲7六歩は最も平凡で普通だが、ここでは一番しっかりした受けだ。歩を節約して▲7九銀右や金は飛車を先手で下ろされてしまう。また、▲7六歩には受けと同時に攻めの筋、▲7五桂の支えにもなるという一石二鳥の手でもある。終盤では先手を取ることが多い為、歩がたくさんあれば連打で止めるのも厳しい受けだが、いずれにしてもその局面ごとに形勢判断を含め冷静に考えて指す。

本譜は△8三歩と穴熊の頭を守ったが、▲9六角から▲7五桂ともう一つの急所を攻められると受けがなくなりその時点で投了。先手斎藤王座が中盤から徐々に差を広げていく完勝譜となった。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ