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NHK杯に見る受けの手筋

(2019年10月28日出題)

第721問(2019年10月27日 近藤誠也六段-深浦九段戦)
(問721-1)
先手近藤六段、後手深浦九段で戦型は相掛かり戦。先手は飛車を深く引き、後手は浮き飛車にして駒組みを進めた。そして中盤、先手が桂交換をしながら3筋の歩も切り立ち回ったが、後手も好形から反撃をして全面的な戦いに。下図、後手の狙い(△5七桂成〜△7六角)は部分的に受けづらく、この攻めにどのように対処するか手腕を問われるところ。そこで、▲2四桂から▲3二歩と垂らしたのが図の局面。次に▲3一角がありこの手を喫すると△5七桂成からの攻めより厳しい。そこで後手はどうすべきか。後手の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問721-2)
後手は丁寧に受け、また着実な攻めも見込め有利から優勢へと進めていった。そして下図、今▲2三歩と垂らされ次に▲2二金を見られている(他に▲4一角打〜▲2二歩成などの攻めもある)。そこでどう受けるべきか。ここは後手優勢。とは言えちょっとでも間違えればたちまち逆転するのが将棋の終盤でもある。実はここで次の手を見て先手は投了している。もちろん一般的に見てもかなり早い投了で解説者も驚いていたが、つまりしっかりと受ければ二の矢がないということ。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問721-1解答)「玉の早逃げ八手の得」
この局面は、△5二玉がひと目の受け。▲3一角を喫してはいけないので、何か受ける一手だが、この局面のように右側に自分の駒がいてしっかりしている場合は、そちらに動くのが味良い一着だ。

本譜はここで▲3一歩成が軽い手筋だった。△同飛と取らせることで、△7六角の時の△8七角成を消し、後手の攻めを緩和した。しかし歩を渡したことで、△2八歩からの叩きも生じ、後手有利から徐々に優勢へと進んで行った。

(問721-2解答)「基本の受け-歩には歩」
実戦はここで△2一歩としっかり受けた。六枚落ちの時に良く言うのが「上手が歩を垂らしてと金を作りに来た時には、歩で受けておく」ということ。ところが実際には、強くなればなるほど平手の将棋で歩には歩を受ける場面というのは少なくなってくる。つまり(序盤や中盤では)歩を受けることが大きな利かされになることが多いからだ。なのでこうした基本の手を見落としやすい。

本譜は、△2一歩としっかり受けたところで先手投了。ある意味驚きの投了だったが、先手陣はまとめる術がなく、後手には有効な手がたくさんあるということ。駒組みの作戦成功から徐々に有利を広げ確実に優勢へ、後手深浦九段の快勝譜となった。
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