第722問(2019年11月3日 羽生NHK杯選手権者-屋敷九段戦) |
(問722-1) 先手羽生NHK杯選手権者、後手屋敷九段で戦型は角換わり腰掛け銀。最近では最も良く見る双方▲4八金▲2九飛の形から銀を腰掛け、先手が単騎の桂跳ねでシンプルに仕掛けていった。そして双方がどこまで研究だったのか分からないが、考慮時間をあまり使わずすごい勢いで終盤戦に入った。しかしやや急ぎすぎたのかもしれない(感想戦で)。下図は先手苦しく、▲5五金はひねった着手。ただ狙いは▲5四角の王手飛車一本なので受ける側から見れば分かりやすいとも言える。ここで指された後手の次の一手は何か? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問722-2) 上図から約10手後。先手はさらに忙しくなり後手の勝利までもう少し。しかし今飛車頭を叩かれ、一歩を補充されながら▲3四角と王手されている。ここは二歩さえ打たなければ後手良しは変わらなそうだが、人間にミスは付きもの。仮にミスしてもより勝利しやすいのはどう受けるかという問題でもある。ここで指された後手の次の一手は何か? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問722-1解答)「玉の早逃げ八手の得」 先週も出てきた玉の早逃げ。この局面もひと目△5二玉と早逃げしたい。王手飛車を防ぎつつ▲5五の金から、さらには▲2三歩成からも離れ玉は安全になる。この△4三玉のまま△5三銀のように受ける手もあるが、▲4四歩の叩きや▲2三歩成が近いだけに流れ弾に当たりやすいともいえる。 本譜は▲4五角と飛車取りに打ったが、幸便に△8六飛から△8二飛とかわして後手優勢。そして飛車頭を叩いて▲3四角と王手で一歩補充したのが第2問である。 |
(問722-2解答)「玉の早逃げ part2」 こちらも△6二玉がひと目の手筋。終盤では先手を取ることが多く、そういう意味では△4三銀も候補に挙がるが、ここでは▲同角成△同玉に一旦▲8五歩と押さえられると玉が▲2三歩成に近い。すべての状況を見て、先手を取った方が良い場合と先手を取らなくても良い場合とを見極める必要がある。 本譜は、一旦は▲8五歩と押さえたが、△8一飛▲4五角に△5一飛と回られると金取りが両方残り万事休す。先手玉がすぐに詰むという訳ではないが、放送時間を30分余り残しここで投了。中段玉を巧みに凌ぎきり後手屋敷九段の勝利となった。 |
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