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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年2月10日出題)

第736問(2020年2月9日 野月八段-深浦九段戦)
(問736-1)
先手野月八段、後手深浦九段で戦型は相掛かり戦。先手は飛車を深く引き、後手は浮き飛車。中盤、先手の野月八段が研究の一手を出すとこの手が成立するかどうかの勝負となった。そしてこの将棋に関して言えばその新手は成功し、先手有利に。下図は角銀交換の上、△3四歩と一手受けの手を指させたところ。もちろん受けの手と言ってもこの手には狙いがある。その狙いを見破り応手を考える。ここで指された先手の次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問736-2)
上図から、後手に攻めさせその反動で後手玉を寄せきれるはずだった。しかし誤算があり王手で飛車を取られてから受けられると局面は混沌とし、やがて数手後には後手有利に。下図は後手優勢。ただ、今▲4四歩と金頭に歩を叩かれている。応手を誤ればたちどころに逆転するのが終盤。ここではどのように対処したら良いか?後手の指した次の一手は何?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問736-1解答)「軽く飛車を逃がす」
後手から次に△3五銀と打たれると▲1六飛に△1四歩で飛車が捕まる。そこでこの筋を軽く逃げたのが実戦の▲4六飛。しかも局面によっては▲4四歩などの攻めも見込め味が良い一着と言える。良く二枚落ちの二歩突っ切りで飛車が捕まるような局面がある。これなども相手の攻める手を数手読めば分かる場合もあるので、平手駒落ちに関わらず読みの精度は常に高めておかなければならない。

本譜は後手の攻めを呼び込んでから反撃したが、あるいは玉の逃げ方がおかしかったか局面は急接近しやがて逆転、後手優勢の終盤となり第2問に続いている。

(問736-2解答)「支えの駒を取りきる」
このまま何もしないと、あるいは金を逃げるのではすぐに寄せられてしまいそうだ。このような時は、元の駒を取ってしまうのが受けに良く出てくる形。ここで実戦は△6八飛の王手角取り。合駒に△6六飛成と角を取れば▲4三歩成と金を取られても上部が広いという読み。但しここまでは級位者の読みで、有段者になると▲4八飛というような切り返しの合駒も考えなければならない。この局面では(▲4八飛に)△2八金と言うさらなる切り返しがあるので成立しないが、終盤にも様々な妙手や手筋があるのでしっかり身に付けたい。

本譜は、▲4八桂△6六飛成から先手も後手玉を追いかけ、詰めろ逃れの詰めろなど双方技を駆使したが最後は優勢の後手が先手玉を即詰みに討ち取り後手深浦九段の勝利となった。
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