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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年3月9日出題)

第740問(2020年3月8日 稲葉八段-斎藤慎太郎七段戦)
(問740-1)
先手稲葉八段、後手斎藤七段(放送時八段)で戦型は相掛かり戦。しかし序盤早々先手の趣向に後手が反応し見たことのない進行となった。後手桂損の変化で、飛車先も止められては先手十分かとも思えるが、そこから難解な中終盤が繰り広げられた。そして下図、今▲3五歩と銀取りに歩を打ち、この銀を動かし、先手は▲2五飛から飛車成りを狙っている。そこで後手はどうすべきか。後手の指した次の一手は?実戦の進行を三手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問740-2)
上図から一時形勢不明となったが、飛車の成り込みが実現すると、少し先手が残せそうにも見える展開に。下図は△6五の角を銀で取り△同金となった局面。ここで指された先手の次の一手は何か?将棋では常に相手からの厳しい攻めがあればそれを受けることになるので、ここでも相手の攻め筋を見極めねばならない。そしてそれを受ける手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問740-1解答)「飛車を押さえる攻防の一着」
持ち駒が何もないので、△2三銀と引くと飛車を出られて困る。なのでここだけを見れば△4五歩と突き▲3四歩△4六歩の取り合いになりそうだが、実戦は△8九歩成。これは攻め合いと言うより、桂を取り、▲3四歩に△2六桂と飛車を押さえながら金取りに当てる攻防手を見込んでの一着。実戦▲4八金にはここで手番が来るので攻めを継続出来る。

本譜、▲4八金△4五歩▲同銀△8八とから銀を入手して△3七銀の打ち込み。形勢も混沌、勝負も分からなくなってきたが、そこを抜け出し再び先手が良くなってきたと思われるのが第2問である。

(問740-2解答)「桂の両取りを丁寧に受ける」
ここで後手からの厳しい攻めは△7六桂。この手は初心者の人にも見えて欲しい基本の攻め筋。そして当然これを打たれてはダメなので受ける一手。▲7七歩が平凡だがしっかりした受け。もちろん▲7四歩と攻めにも使いたい筋ではあるのだが、それ以上に△7六桂は打たれてはいけないということ。

本譜は、△7五桂に▲7四桂のつなぎ桂から先手の猛攻が始まった。これに後手も頑強に抵抗し、ある意味感動的とも言える攻防がこのあと50手近く続いた。途中、一手指す方が良く見える局面もあり、凌ぎ切ったかと思われるところもあったが、最後は攻めがつながり先手稲葉八段の勝利となった。
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