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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年3月16日出題)

第741問(2020年3月15日 行方九段-深浦九段戦)
(問741-1)
先手行方九段、後手深浦九段で戦型は相矢倉。後手が△6三銀から△5四銀と腰掛け銀にしたのに対し先手は棒銀を選択。そして仕掛けは先手の▲1五歩から始まり、その先手が攻勢を取ったが形勢は不明なまま終盤戦に突入した。下図は▲7三角成と桂を取った手に対し、△1九角と大駒の動きをけん制したところ。このように大駒が向かい合っていて間に駒がある時は常に様々な筋に注意しなければいけない。ここで先手の指した次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問741-2)
上図から後手の攻めに先手も頑強に受け形勢不明の熱戦は続いたが、一手ばったり(感想戦で)的な悪手が先手に出て形勢は傾いた。それでも下図は、▲6三銀のタダ捨てから今▲6四香と反撃したところ。△6九飛から△6八金の攻め筋は受けようがなくここでは後手優勢だが、もちろんこのまま飛車を取られ、下段から飛車や角を打たれては後手の負け。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問741-1解答)「飛車を渡した時の常用の早逃げ」
▲6九玉の状態でダイレクトに飛車で王手されると合駒を使わされるのが痛い。そこでこういう場合は、一手かけても早逃げしておくのが常用の手筋。もちろんこの局面は、単に飛車を取る以外に、△2六香などの手も見えるので、そうした手も大丈夫と読んだ上での早逃げでなければならない。

本譜は(▲7九玉と早逃げしたこともあり)後手は飛車を取らずに6筋を攻め、さらに△7一香から7筋を攻めた。そしてその途中で先手に疑問手が出て形勢は後手に傾く。その終盤が第2問である。

(問741-2解答)「飛車の価値より手を稼ぐのが重要な終盤」
ここで△8三飛と逃げたのが実戦。▲6一角の純粋な王手飛車があるだけに初心者の人に取っては驚きの逃げ場所に思えるかもしれないが、▲6一角△4二玉▲8三角成と成った瞬間は後手玉がほぼ絶対詰まない形になり、△6九飛▲8八玉△6八金で明快に後手勝ち。このように終盤の詰む詰まないでは、手を稼ぐことが重要になる。詰み→詰めろ→二手スキの状態を自玉と相手玉、常に両方を考えながら指す事が大切でそれだけ複雑になり難しいがそれが勝負に直結するところでもある。

本譜は、▲3一角の詰めろから△3二金に▲1三角成と受けながら相手玉にアヤを残したが、△6九飛から先手玉に迫った後手が最後は先手玉を即詰みに討ち取り、後手深浦九段の勝利となった。
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