第753問(2020年7月19日 増田康宏六段-川上七段戦) |
(問753-1) 先手増田六段、後手川上七段で戦型は相掛かり戦。端歩を突き合う形から角交換が行われ、角を持ち合って戦機をうかがった。その後、後手が9筋から戦端を開いたが、先手は軽くかわすと△3五歩と伸びていた歩に▲3六歩と反発し、先手の駒が前に出るようになった。下図はと金は作られたものの、代わりに▲2九の桂が▲4五桂と急所まで跳んでいる。ここで後手の指した次の一手は何か? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問753-2) 上図から銀の逃げに▲3三歩が利き、▲7七の桂も▲6五桂と跳ねて先手がリードした。そしてさらに▲2四歩から猛攻をかけようとした瞬間に後手は△3八とのと金捨てから△2七角。受けながら反撃したのが下図でこの飛車取りをどうするか?有利に立っても、手数が長引くと逆転されることは多い。単純に両取りを受けるだけで良いのかどうか。実戦で指された先手の次の三手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問753-1解答)「桂先の銀定跡なり」 美濃囲いのコビンや、舟囲いの玉頭の歩に狙いを定めた控えの桂に対する銀の受けがいわゆる「桂先の銀定跡なり」だ。ただこの格言は、今回のような場合でも一番自然な逃げ場所でもある。実戦では△2二銀と引いて桂のタダ取りを狙ったり、終盤では手抜いて攻め合うなど、その時々で丁寧に読みを入れて選択しなければならない。 本譜は、▲6五桂にも△6四銀と上がって受けたが、▲9一角の筋やいつでも▲5三桂成からの殺到を見られて先手有利に進んだ。そして、▲2四歩に△3八とと捨て、△2七角と打ち込んだのが第2問である。 |
(問753-2解答)「踏み込む終盤の読み」 両取りに対し、普通は▲3七飛と浮いて両方を助けるし、実際それでも先手十分だろう。しかし、△4九角成と玉の側に成っていられると攻めにも制約が出る。実戦▲3九飛と引いたのが後の攻めを見た鋭い受け方だった。△3八歩で金はすぐに取られるが、▲2九飛と回って▲2三歩成を実現。ここで後手に歩のような安い駒がなく、すぐに飛車先を止められないことも読みに入っている。さらに△3九歩成のような手に対しては、▲3二とがありやはり飛車先は止まらない。この辺りまで読んで、▲3九飛と引くのが攻めを見た受けとなる。 本譜は、玉の早逃げから▲4五の桂を食いちぎり△2七桂と先手の飛車を押さえ込みながら攻めたが、結局馬との交換になり、最後は浮遊する後手玉をきっちり詰ませ、先手増田六段の勝利となった。 |
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