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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年8月10日出題)

第761問(2020年8月9日 本田五段-星野四段戦)
(問761-1)
先手本田五段、後手星野四段で戦型は相掛かり戦。後手がタテ歩取りを見せ△7四飛と寄ると、先手はその歩を取らせる代わりに銀の進出を優先した。そして、先手が飛車先を切った瞬間に後手は飛車交換を挑み、さらに▲8三飛というタダ飛車を打ち込む強手で先手が局面をリード。下図は今▲7二歩成とと金を作ったところ。こうした玉の側の金はタダで取らせてはいけない、と言うのが将棋の基本。となると応手は限られるがここで指された後手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問761-2)
上図から懸命に受けるも先手の攻めを振りほどけないまま終盤戦は続いた。途中、後手の勝負手に▲8二とという反対側に動く意表の一着も飛び出し先手の優勢は続く。今、一矢報いようと△2七歩とこのような局面で良く出る手筋の一手を指したところ。序中盤で歩があれば▲2九歩と打っておく手も見るが、ここでは仮に歩があっても歩を受けるのはぬるい。ここで指された先手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問761-1解答)「数手後の局面を考えて逃げ方を選ぶ」
タダで取られてはいけないので、何も考えないなら△5二金と逃げるのが普通。しかしそれは▲8四馬と王手をされると受けに窮する。つまり△4一玉でも△4二玉でも▲6二とと寄られると結局金は逃げられない。こうした手を読んだ上で、不安定だが△6三金と逃げるのが正解。もちろんこちらはこちらで▲4六銀〜▲5五桂などの筋も見えるので上がりづらいが、と金で取られるよりはまだ頑張れるという訳だ。

本譜は、▲3七桂から▲5六歩と角を追った瞬間に、△8五飛という受けの勝負手。これに▲8二とという意表のと金受けで形勢差は詰まらない。感想戦でも話していたように△2七歩は他にやる手がないという仕方ない攻め筋で先手優勢のまま第2問となっている。

(問761-2解答)「取られそうな駒を逃げ道封鎖に」
ここでは先手優勢なのでどのような手でも有利は維持できるかもしれない。しかし、本譜▲4五桂がいかにも取られそうな桂を跳ねることで後手玉の逃げ道封鎖になっておりいわゆる味の良い手だ。こうした桂は、あまりに早く跳ぶと「桂の高跳び歩のえじき」になってしまうが、終盤では取られている間に手を作ることも多く、なかなかタダでは取られない。

本譜も△4四歩と突いて桂取りにしながら玉のふところを広げたが、▲7二飛の王手が激痛。その後も着実に後手玉に迫り、先手本田五段の勝利となった。
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