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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年9月28日出題)

第768問(2020年9月27日 渡辺明名人-増田康宏六段戦)
(問768-1)
先手渡辺名人、後手増田六段で戦型は相矢倉。現代調の駒組みから後手は△4三金左と上がってバランス重視の陣形を目指した。対して先手はガッチリ矢倉に入ったが、後手が△9二香から△9一飛と端攻めを見せ下図となっている。今△9五歩と仕掛けたところ。このような端攻めは特に矢倉では良く出てくるがその時々で最善の応手は変わる。この局面はまだ序盤から中盤に移るところ。こうした局面ではどのように受けるのが良いか。ここからの実戦の進行を三手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問768-2)
上図から一旦収めた先手が▲5五歩から今度は攻めに回るとその攻めが急所に刺さった。そして先手優勢のまま終盤に入り、下図は今じっと▲5六金と垂れ歩を払いながら▲4六角なども見て後手玉にプレッシャーを与えているところ。この局面はどこを受けるのか難しいが、ここで指された後手の次の一手は何か?悪い時でも簡単に崩れない一着とは?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問768-1解答)「控えて受ける端歩」
実戦は▲9五同歩△同香に▲9八歩。まず最初の▲9五同歩は取る一手。終盤では手抜くこともあるが、この局面では△9六歩と取り込まれてはいけない。問題は△同香にどう対応するかだが、▲同香△同飛と交換するのは、大抵の場合攻めの香を持ち駒にした方が有利。その香をすぐに他の場所で使えない限り交換は不利と覚えておきたい。問題は歩を受ける場所だが、ここでは▲9八歩が手堅い。後手からそれでも攻めるなら△9七歩や△9八香成だが、この時の一歩は攻めの成否を決めるほど大きな一歩と言える。

本譜は一旦駒組みに戻り、△6四歩を突かせて今度は先手が▲5五歩から▲4五歩と攻め、香の入手をもくろむ巧みな▲9七歩も織り交ぜ徐々に優勢を築いていった。そして第2問へと続いている。

(問768-2解答)「龍の利きを遮断する歩」
どこを受けるのか難しい局面だが、ここでの実戦は△4二歩。部分的には単に受けただけの手で辛いが、攻めるのは駒を渡してかえって反撃が厳しくなるだけ。相手の攻め間違いを待つ、というと言い方は悪いが、局面の不利な時に辛抱できるかどうかも棋力の一つだ。

本譜はここから▲6四歩△5四銀に▲6三銀。ちょっと俗な攻めで大丈夫なのかと思ったが、△6四馬に▲6二銀不成△同玉の瞬間に▲4六角が強烈な決め手。一気に後手玉を寄せきり、先手渡辺名人の勝利となった。
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