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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年10月5日出題)

第769問(2020年10月4日 本田五段-稲葉八段戦)
(問769-1)
先手本田五段、後手稲葉八段で戦型は横歩取り△3三角戦法。先手が▲2八歩から▲8六飛と飛車をぶつけて交換すると一気に激しい終盤戦へ突入した。下図はその数手後。今△9六角と打ったところで、単純には▲7八の金取り。▲7九金と引くのは自然に見えるが、△7四角と攻めの歩を取られると後手陣への攻め筋が見えなくなる。ここでは(感想戦では)当然のように話していた先手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問769-2)
上図から先手が踏み込み、角を切って玉を釣り出し、今▲6五銀と打ったところ。(後手から見て)先に角をもらっているので、ここでの角銀交換は仕方ないが、その後に▲4一角などの攻めが見えるだけにどう受けるか迷うところ。ここで後手はどうしたか?ここからの実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問769-1解答)「攻防の自陣飛車」
金を逃げて、▲7四歩を外されても一局の将棋で難しいが、先手の主張がなくなるので後手が一本取った感じはする。そこで▲7七飛が実戦でも放たれた攻防の一着。金取りを受けつつ△7四角に▲同飛の切りなどを見せ後手玉にプレッシャーをかけている。

本譜は△7四角に飛車を切らずに▲8五桂の活用。そして▲7三桂成と踏み込んで迫力ある終盤戦が繰り広げられた。その後優劣不明のまま第2問へと続いていく。

(問769-2解答)「玉の早逃げ八手の得」
△8二桂などと7四の地点を受ければ角銀交換で済むが、▲4一角などでかえって大きな駒損になるかもしれない。そこで角を見捨てて△6二玉と早逃げするのが手筋。▲7四銀にはさらに△5一玉の早逃げ。この局面は後手から見て銀桂交換の駒損。しかし、玉の守りが遠くにいた金銀に近づき堅固になっている。

本譜はそれでもまだ難しそうだったが、ここからの後手の攻めがヒットした。△7六歩と飛車頭を叩き、先手の玉頭に狙いを定めると、逆に駒得になり一気に優勢、最後はきれいな必死をかけ後手稲葉八段の勝利となった。
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