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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年10月12日出題)

第770問(2020年10月11日 千田七段-渡辺大夢五段戦)
(問770-1)
先手千田七段、後手渡辺五段で戦型は相居飛車。矢倉の出だしだったが、後手が飛車先を受けず急戦を目指した為、あまり見ない陣形に。そして先手は、角の使い道が見えない中、▲3五歩と先攻したものの誤算があり(感想戦)形勢はやや後手に傾く。その後、守りの桂を攻めの桂に△1三桂とぶつける好手もあり後手有利。下図は今△1三同角と桂を交換しながら急所に角をのぞいたところ。銀が動くと玉に直射なので何か受けるしかない。ここではどのように受けるのが良いか?実戦の進行を三手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問770-2)
上図から先手も懸命に粘るがそれ以上に後手の攻めが的確だった。壁にさわらず玉の右側から攻め、最後に△8六歩から△8七歩。今、▲9七角と上がらせたところで、ここではどうやっても後手優勢。とは言え△8八金や△6九金などあまりに俗に攻めるのは逆転の余地を与える。先手からの▲8五飛は一つの狙いでもあるのでそうした手も防ぎつつここは決め手の一手を放ちたい。ここで指された後手の次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問770-1解答)「角のラインを先手で受ける」
まず角に働きかけておかないと△5八銀成の開き王手が厳しい。と言うことで▲2五桂から▲3五銀と先手で受けたが、銀だと切られるのは目に見えている。と言って切られないように歩で我慢するのは、平凡に▲7七の銀を取られてからまれるだけでも後手陣への攻めがない。解答図は切られて△2四銀から桂を取られてしまうがこれが最も差を開かせない指し方とも言える。

本譜は△2五銀と角と銀桂の二枚換えになり後手有利。その後先手も▲5四歩から必死に形勢挽回を図ったが、▲7七の銀を取らずに5〜6筋から攻め優勢、そして勝ちまでもう少しとなったのが第2問である。

(問770-2解答)「攻防に打つ急所の桂」
ここでは△6五桂がピッタリな攻め筋。▲8五飛を防ぎつつ守りの要である▲7七の銀に働きかける。優勢なので、△2五の銀を△3四へ逃がしても有利には違いないが、▲8五飛から飛車交換になると後手陣も薄い。また、ずっと▲7七の銀を取らずにいたが、角を▲9七へ追いやった後ではこの銀に働きかけるのが最も厳しい攻めとなっている。

本譜はここから一気に先手玉を寄せ、約10手後にはきれいな必死。後手渡辺五段の勝利となった。

その必死一手前、持ち駒を増やし詰みの局面にしたので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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