第771問(2020年10月18日 佐々木慎七段-行方九段戦) |
(問771-1) 先手佐々木七段、後手行方九段で戦型は先手中飛車対居飛車急戦。後手の△6四銀△7三桂の形に一旦は▲7八金▲5九飛とガッチリ受け止められたが、▲4六に出た角を追い△7五歩と後手が仕掛けた。その後、飛車を捨てる強襲をかけ終盤戦へ突入。下図はその直後。飛銀交換で先手の駒得だが、今△7八歩成とと金を作られ駒は回収されそうだ。このような局面ではどのように応対するのが良いか。有段者にとってはこれしかない一手だが、初級者の人はどう考えるか。ここでの先手の次の一手は何? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問771-2) 上図から後手は飛車を攻め駒得になった。しかし、その分今度は先手が攻める番になり難解な終盤戦に。そして後手がギリギリで利かしに来た△8三歩に▲4四桂の強手から一気に後手玉に肉薄。下図は飛車を切って今▲2二金といわゆる必死の形を作ったところ。一、二段目だけを見れば必死の基本形として良く出てくる形ではあるが、局面が違えば受ける手も生じる。▲3二金打と▲5二金を見られているので、この二つの地点を同時に受けなければならずその手は一つしかない。ここで指された後手の次の一手は何か? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問771-1解答)「遊び金を捨ててと金を残さない」 ここは▲7八金とと金を取る一手。△同成銀と取られると金を損してしまうが、このと金を残して△6八とと寄られる方がもっと先手にとって厳しいことになる。また▲8八の金は遊んでいるということ、金を取られても成銀がそっぽへ行くと言うことなど先手にとってのメリットも多く、ここは金を損してもと金を払う一手しかない。 本譜はこの後、先手が飛角をさばいて行くのに乗じ後手は先手の飛車を攻め最終的に捕まえた。しかし一瞬の間隙を縫い後手玉に襲いかかったのが第2問である。 |
(問771-2解答)「必死形を逃れる唯一の手」 角か銀を持っていれば△4三に打っても受かるが、今は持ち駒にないので、△4三銀と立つより他に▲3二金打と▲5二金を同時に受ける手はない。問題図のような攻め方は、まれに級位者同士の戦いでも発生するが(飛車切りを)見逃すことも多い。必死の形をしっかり覚えて寄せられるようになれば勝率も上がるだろう。但し、今回のように僅かにまわりの状況が違うだけで必死にならないこともあるので注意したい。 本譜は▲5三馬△5二飛から後手玉が寄っているかどうかという際どい戦いになった。感想戦では、寄せ切られていたかもという変化も出たが、実戦は先手の詰めろを凌ぎ、逆に先手玉に詰めろから必死をかけ、後手行方九段の勝利となった。 |
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