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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年11月16日出題)

第775問(2020年11月15日 永瀬王座-大橋六段戦)
(問775-1)
先手永瀬王座、後手大橋六段で戦型は横歩取り△3三角戦法。ただ最近の流行ではなく、少し前に良く見た飛車引きから双方中住まいに構えた形。そして先手が▲1七桂から攻めの態勢を作り、軽く仕掛けた。対して反撃含みに角で受け、これに角を強引に打ち込んで一気に終盤戦へと進む。下図はその直後。今▲2四歩と取れる銀を取らずに歩を打ったところ。ここで後手はどうしたか?問題として出されればそれほど難しくないかもしれないが、知らないと指せない一着。ここで指された後手の次の一手は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問775-2)
上図から後手も反撃に出て白熱の終盤戦が繰り広げられた。感想戦でも、何かあったかも?と言っていたように難解だったが、先手が凌ぎ切り、反撃の▲8六香が入ると先手優勢に。そして最終盤、今△8四角と受けながら王手という攻防の角を放ったところ。ここで先手はどのように受けたら良いか?ここで指された先手の次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問775-1解答)「手筋-成駒の位置をずらすタダ捨ての銀」
ここでの次の一手は△3二銀。初めて見ると、「何だ?」と思うような手だがこれも部分的には一つの手筋。良くあるのは一段目に銀を捨てて、成駒をその効率の悪い一段目に行かせる時に発生する。ただあまり見ない筋なので有段者でも実戦でこのような局面で気づけることは少ない。

本譜は▲3二同成桂と取らせ、△3五歩と止めてから△9九角成と飛び込んで終盤戦が繰り広げられた。そして先手が反撃し、勝ちまであと少しとなったのが第2問である。

(問775-2解答)「大駒は近づけて受けよ」
合駒せずに逃げるのは逆転負け。合駒さえすれば単に▲6六に打っても優勢には違いないが、ここは▲7五歩が受けの筋と言うもの。△同角なら▲6六銀と当てて受けられるし、△7三の地点に角が利かなくなると、▲7三桂成からいきなり詰む筋も生じる。

本譜は、次に△7五角を見て△6五銀と押さえたが、▲4三飛成が上部脱出を見ながらの攻防手。△5二金打には銀取りで龍を引き上げると、最後は後手玉を即詰みに討ち取り、先手永瀬王座の勝利となった。

なお、上の局面から▲7五歩を突かず(合駒せず)▲5八玉と逃げるととん死する。そこから余詰を消して問題を作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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