第776問(2020年11月22日 木村九段-藤井聡太二冠戦) |
(問776-1) 先手木村九段、後手藤井二冠で戦型は角換わり腰掛け銀。中盤、どのような仕掛けをするか待つか、高度なやり取りの後、結局先手が▲4五歩と突っかけ△同歩▲同銀に△6五歩と反撃し全面的な戦いとなった。そして終盤、下図は今▲4四歩と銀頭に歩を打ったところ。この銀は逃げられないので、ここでの次の一手は一つに見える。しかしこのような所でも何か別の手がないがしっかり考えて指したい。ここで指された後手の次の一手は何か?実戦の進行を三手まで。 (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問776-2) 上図から一手争いの難解な終盤戦は続いた。そしてそこを抜け出したのは先手の木村九段。感想戦の時間がなかったのでどこで差が開いたか分からないが、下図は先手優勢。▲3五銀の押さえに、この銀を抜くため、△7八銀▲同金△3七飛と打ったところ。ここで先手の指した一手は?平凡な手でも先手優勢は変わらなさそうだが、ここで魅せる受けの一着が出た。ここで指された先手木村九段の決め手は何か? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問776-1解答)「取られそうな駒を先にさばく」 受けだけを見ると、△4五桂の一手に見える。しかしここでの実戦は△8五桂。指されて見ればなるほどの一手で、▲5五角の王手桂取りを未然にかわしているという訳。絶対の一手に見えるところでも、たとえば本譜のように利かしておくと得なことはないか、あるいは本当に絶対の一手かどうかを慎重に考えるのは大切なこと。時間のないアマの場合は難しい面もあるが、手拍子で指さないように気を付けたい。 本譜はここからどちらが良いのか分からない難しい終盤戦が続いた。そして最終盤、▲6五馬と先手で馬を引き優勢、勝ちまでもう少しとなったのが第2問である。 |
(問776-2解答)「場合の妙手-馬捨ての受け」 ここで木村九段の指した一手は▲4七馬。タダで馬を捨てる驚愕の一着だった。特に平凡に▲4七歩あるいは銀を合駒しても良さそうな所だけになおさら驚きの一手と言える。ただ、この手の意味は簡単。▲3五の銀を取られなければ後手は受けがないので、角を渡しても先手玉は詰まずに勝ちという読み。但し、少しでも読み抜けがあるとたちどころに逆転するので、実戦的にお勧めするかというと微妙だ。参考にすると言うより、すごい受けの一手として鑑賞したい。 本譜は、△4七同飛成に▲7七銀打としっかり守って先手玉は詰み形にならない。仕方なく△3四金と桂を払ったが、▲2二銀から後手玉を下段に落とすと、最後まできっちり寄せ切り先手木村九段の勝利となった。 なお、投了図から持ち駒の金を銀に変えただけの「今日の実戦の詰み」を出題しているのでそちらもどうぞ。 |
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