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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年11月30日出題)

第777問(2020年11月29日 斎藤慎太郎八段-谷川九段戦)
(問777-1)
先手斎藤八段、後手谷川九段で戦型は相居飛車。矢倉の出だしから、後手が右銀を繰り出し急戦調に駒を進めた。しかし先手がこの急戦を受け止めるとその後はじっくりした駒組みに戻り、仕掛けの難しい中盤戦が長く続く。そして再度後手が中央から仕掛け全面的な戦いに。下図はその数手後。▲5八飛と銀取りに回った手に△5五歩の受け。そして今▲7四歩と突き出したところ。ここで後手の指した手は何か?どこを受けるかもはっきりしないが、盤面全体を見て次の一手を考えて欲しい。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問777-2)
互角の中盤から終盤戦に突入すると、両者一歩も引かない激しい終盤戦となった。しかし、龍を作り▲2六龍と成銀に当てながら引くと後手の対応が悩ましい。下図は先手有利。今△4九角と銀取りに打たれたがこの銀取りは普通に受けることが出来る。ただ、こうした所で最も効率の良い受けは何か?先手の指した次の一手は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問777-1解答)「本格的な戦いの前に垂れ歩を払う」
ここで後手の指した手は△3四銀。受けに限った手で、▲7三歩成が大丈夫ならこれくらいしかない。ただ踏み込もうとしているところで、じっと受けの手を指されると「なるほど」と感心する。こうした手は、駒が当たり出してからでは間に合わないし、こうした歩を残して置くと終盤に結局▲3三に打ち込まれて一手負けすることも多い。戦いに入る前には自陣にキズがないかどうかしっかり考えたい。

本譜は先手も▲8八玉と一手かけて戦場から遠ざかった。これに△4三金左と上がったので、△3二玉から入玉を匂わせつつ指すのかと思っていたがそんな将棋は光速流ではない。敵陣に鋭く迫り攻め合いに。ただ結果としては、先手陣が厚く終盤を有利に進めているのが第2問である。

(問777-2解答)「金を寄せる自然な受け」
△7六角成と取られてはダメなのでこの角筋を止める一手。その止め方も、実戦の▲6七金右が一番自然だ。もちろん銀取りを防ぐだけなら、▲5八歩とかでも十分そうだが、実戦のように金を玉側に寄せながらの受けなのでこれが一番筋の良い受けと言える。

本譜は、△2七成銀と逆側に動き先手を取り△5五桂と攻めたが、▲2四歩からの攻めの方が一手早い。最後は後手の飛車に成られても、ガッチリ銀を埋め、先手斎藤八段の勝利となった。
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