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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年12月7日出題)

第778問(2020年12月6日 羽生九段-渡辺明名人戦)
(問778-1)
先手羽生九段、後手渡辺名人で戦型は相矢倉。それも最近では珍しい、お互いガッチリ組み合う矢倉となった。角のにらみ合う形から後手が角交換し△4七角の打ち込み。これに1筋を攻め、先手の攻め、後手の受けという形で終盤戦に入っていった。下図は先手角損の攻め。今▲2四歩と歩を進めた所で、もちろんこのまま▲2三歩成が入ってはすぐに受けなしになってしまう。ここで指された後手の次の一手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問778-2)
最終盤、見応えのある攻防が繰り広げられた。▲2四歩はなるほどの一着だが△3八飛も攻防。詰めろ逃れの一手詰で、先手は後手の詰み筋を読みながら、自陣を受ける必要がある。ここで指された先手の次の一手は?決め手とも言える先手の受け方は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問778-1解答)「単に受ける歩」
初心者に対し、六枚落ちで歩の垂らしには歩で受けておくと言うのを良く教えるが、実戦は複雑で、このように成香が当たっているところでじっと歩を受けると言うのは盲点になりやすい。特にこの局面では飛車頭を叩くのも筋なのでなおさら見えづらく、丁寧に相手の攻めを読んで受ける必要がある。

本譜は▲2三歩成△同歩▲同成香△同金▲同飛成と部分的には破っているが、駒損も大きく実戦的にはまだまだ難しい。(感想戦では)少し先手良しという感じではあったが、最終盤は詰めろ逃れの詰めろの行き交う見応えある攻防が繰り広げられ、その最中なのが第2問である。

(問778-2解答)「大駒を動かせないのを見越した場合の受け」
▲6八銀など埋めれば固いが戦力不足になってしまう。ここで▲6八金引と受けたのが最終盤ならではの特殊な受け。普通は△同馬とされ二枚換えは大抵ダメなのだが、この馬が動くと▲1二歩成からやさしい詰み。また飛車も動かすと(▲3四角があり)詰むので、このような特殊な受けが成立している。

本譜は、△7六歩と詰めろで取り込み、非常に難しい終盤戦だったが、▲8五銀が入り▲1二歩成から▲4五角を攻防に利かすと▲6九金と馬を取っても自玉が詰まないと読み切った先手羽生九段の勝利となった。
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