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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年12月14日出題)

第779問(2020年12月13日 杉本昌隆八段-豊島竜王戦)
(問779-1)
先手杉本八段、後手豊島竜王で戦型は居飛車対振り飛車。ただ先手の杉本八段が初手と三手目に1筋を伸ばした為、後手の豊島竜王が飛車を振り、変則的な角交換振り飛車となった。その後、先手が自陣角を打ち後手の攻めをけん制すると、その角頭を攻める△7五歩から全面的な戦いへと進む。下図は一本▲2四歩の突き捨てを入れたところ。タイミングの良い歩突きで、△同銀は銀が遊び、△同歩は▲3四歩が見えている。その局面により応手は変わるが、ここではどう応じたら良いか?実戦で指された後手の次の一手と感想戦で話された次の三手の候補は?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問779-2)
終盤戦、双方細かく味を付けた後、中央で飛角交換が行われた。下図は▲5二とと飛車を取った手に△同金と指したところ。▲4一飛は早く打ちたいが、△9九角成と成り込まれると先手玉も薄い。そこで、ここではどのように受けるのが良いか。この局面をしっかり受けておけばその有利さを持って最終盤を戦える。ここで指された先手の次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問779-1解答)「銀の働きを考える」
△2四同歩は▲3四歩と叩かれ△同銀▲2四飛で銀取りと飛成りが受からない。なので実戦△同銀は仕方ないかと思って見ていたが、感想戦では△2四同歩▲3四歩に△2二銀と引いて受ける手順をやっていた。銀の働きはどちらも悪いが、本譜▲2二歩から▲5四歩が厳しい攻めだったので△2二銀ならこの攻めはない。振り飛車を指す人の耐える順として(もちろん銀が遊ばないように進めるべきだが)、こうした手順もあるということを知っておきたい。

本譜は▲5四歩が歩成りと角出を見て先手好調。そのまま飛角交換となった直後が第2問である。

(問779-2解答)「陣形を最も安定させる歩」
ここで▲7七歩と歩で受けて先手陣が固い。▲6六歩は相手の攻めを呼び込んでしまうし、▲7七桂は金に当て先手を取れるので一瞬良さそうだが、△7六金とすり込まれると桂で金は取れず先手陣が薄い。

本譜は、これでも△7六歩くらいだったがその瞬間に▲4一飛と先手で下ろし先手優勢。△3三角打と玉頭への集中砲火を見た手に、この後も正確に対応すると、最後はきれいな即詰みをきっちり読み切り先手杉本八段の勝利となった。

なお、実戦に現れた最後の詰みをほぼそのまま、余詰めを消す為局面を変えているが、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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