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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年12月21日出題)

第780問(2020年12月20日 斎藤慎太郎八段-高野智史五段戦)
(問780-1)
先手斎藤八段、後手高野五段で戦型は相矢倉。ガッチリ組み合い角の向かい合う脇システムへと進んだ。お互い入城後、先手は角を引き端に狙いを定め、後手は5筋の歩を切り駒を中央へ。そして戦いは端に飛車を回った先手の▲1五歩から。▲1三歩と歩を垂らし△同香には角を切っての強襲。先手陣が固いのでこの強襲が成立するかどうかはギリギリ。下図はその途中。▲1三角成△同桂に▲1五飛と一歩を取りながら走ったところ。むろんこのまま▲1三飛成と成り込まれてはいけない。こうした所では基本的な手筋がある。ここで指された三手一組の手筋は何か?実戦の進行を三手まで。

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問780-2)
駒損でも先手の攻めが通るか、後手が凌げるか際どい攻防が続いている最中。下図は今▲2三成香と寄ったところ。もちろん△同金は▲同飛成で後手敗勢。やはりここでも基本の受け方がある。相手の飛車先を先手で止める、と言えばこれしかない。ここからの実戦の進行をこちらも三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問780-1解答)「一歩で一手を稼ぐ端の手筋」
単に△1二歩は普通だが、▲1四歩とされると1三に足す駒がない。こうした局面では、一旦△1四歩と打ち▲同飛に△1二歩と受けるのが手筋。これでもう一度▲1四に歩を打つためには、飛車を動かさなければならず一手余分にかかるという訳。こうした端の受け方は良く出てくるので、級位者の人にも使いこなして欲しい。

本譜はこの後、△8六歩や△6九角など攻めを見ながらの受け、さらに早逃げや途中△2四銀など巧みに凌ぎ、形勢不明なままの終盤戦が第2問である。

(問780-2解答)「飛車頭を叩いて先手で止める」
こちらも△2七歩という飛車頭の叩きが正解。もっとも意味合いは第1問とは違い、こちらは飛車を使わせない為の手筋。こうした飛車頭の叩きも頻繁に出てくるのでこちらも級位者の人にも指してもらいたい手筋だ。但し、この局面では図から▲同銀と取ると、馬に当たることに注意しなければならず、局面ごとにしっかり読みを入れる必要がある。

本譜は、ここからも熱戦が続いた。後手玉を下段に落とし、先手の攻めが切れなくなって勝ちになったようだが、最終盤、先手玉も薄くなり詰めろがかかるかどうかという局面に。最後は、詰みなしと見て踏み込んだ先手に王手ラッシュ、それを正確に逃げ切った先手斎藤八段の勝利となった。
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