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NHK杯に見る受けの手筋

(2020年12月28日出題)

第781問(2020年12月27日 渡辺大夢五段-稲葉八段戦)
(問781-1)
先手渡辺五段、後手稲葉八段で戦型は角換わり戦。先手が▲3六歩から▲3七銀と早繰り銀を目指すと、後手は△7三銀のまま9筋の位を取った。そして先手が▲5六角と自陣に角を据え、ここから難しく長い中盤戦が続く。先手の銀が一旦引いた瞬間に後手が猛攻を開始、それに乗じて先手も反撃し終盤戦へと突入。下図はその途中。銀を▲5四で交換した後▲2三歩成△同銀と進んでいる。この局面、次の一手として出されればいろいろな攻めの手があるのでかなり難しい。但し実戦はここで受けに手を戻した。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問781-2)
上図では攻め込む手もありそうだったが先手が受け、後手にも受けられると先手からの攻めが難しくなった。▲7四角の飛び出しに、角を成らせてから金で受け、先手は玉頭に銀を打ち込み飛車と角銀の二枚換えへ。そして王手で飛車を下ろしたのが下図。王手なのでもちろん受けるしかないが、ここではどのように受けるのが良いか?ここは正確に受ければ勝利への道も見えてくる。ここでの実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問781-1解答)「自陣のキズを守り力を蓄える」
攻めを見れば▲2四歩や▲3三歩成、さらに▲6三歩とか▲4三銀などいろいろ考えられる。しかしここで指された手はじっと金を寄る▲7八金。これは渋い一着だった。もちろん▲6七の地点を守った訳だが、このように一手かけて守るだけというのは終盤では辛いことも多い。なのでその局面ごとに、守ることに一手以上の価値があるかどうかを考えて指すことになる。

本譜は△2四歩と後手も守ったが、この交換は後手の方が得をしたようにも見える。実際、▲7四角の飛び出しに、△1九角成と香を取り、▲6三角成には△6七銀から金を入手して受けに使うと後手が優勢になっていった。そしてそれを拡大しようとしているのが第2問である。

(問781-2解答)「上部を厚くし負けない形に」
実戦△4三玉と上がり、▲8一飛成に△3五銀と飛車に当てながらの銀が絶好打。問題図、飛車の王手に△6二歩と打っても後手有利は違いないが、飛成りの後の▲4一銀が残り、6筋に歩が利かなくなるのも不満だ。上部に相手の駒がないなら実戦のように玉を上がり、中段玉にした方が寄せにくいと言える。さらに△3五銀と打った手が先手で玉頭を厚くする好手。飛車が狭く、これで後手玉への攻めが見えない。

本譜は、飛車を逃げて耐えたが、結局先手の飛車は捕まることになり、その飛車を王手で打たれた所で先手が投了、後手稲葉八段の勝利となった。

なお、投了図から持ち駒を変えて詰むように作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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