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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年1月11日出題)

第782問(2021年1月10日 山崎八段-青嶋六段戦)
(問782-1)
先手山崎八段、後手青嶋六段で戦型は後手のノーマル四間飛車。ただ、先手が▲6六角〜▲7七桂〜▲8九玉と囲った手に対し、振り飛車も美濃ではなく、△7三桂〜△8二銀〜△8一玉と最近の工夫した囲いを見せた。仕掛けは、先手が飛車を軽く動かして歩を切った瞬間、後手が歩を突き捨てて全面的な戦いに。そして角を切り(金と交換し)飛車をさばいた。下図はお互い飛車を成り合っており難解な終盤戦。△6七歩を一本利かしたところで(感想戦では利かさない方が良かったとの話も)、ここで後手の指した次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問782-2)
先手が少し残せそうなのかと見ていたが、後手も猛追し形勢不明。下図は、タダで取れる銀を取らずに、今△6五桂と角取りに桂を打ったところ。一手の余裕があれば△8七桂成が詰めろ、重厚な攻めなら△7七桂成、さらに急ぐなら△7七桂不成から△8七桂成と王手で銀を取れる。そこで先手はどうしたら良いか?ここで指された先手の次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問782-1解答)「金を投入してしっかり受ける」
後手陣は、▲7二歩や▲6二歩など歩で攻められる手が残りしかも厳しい。そこでそうした手をガッチリ受けたのが、実戦の△7二金打。このようにしっかり金を入れることで、先手からの早い攻めを封じた。ただ、金を手放してしまうので当然攻めも細くなる。特に切れてしまうようだとこの手が悪手になるので、まず攻めが(遅くても)つながるということを確認して受ける必要がある。

本譜は手筋の▲6二歩から▲7五歩と打ち、桂を取っての▲7四桂を見せた。対して後手も△7六歩と打ち壮絶な攻め合いに。そして、際どい終盤の攻め合いの最中が第2問である。

(問782-2解答)「取られそうな駒を受けに使う」
ここで▲7八銀引と引いたのがいかにも味の良い一着。つまり二枚の駒をタダで取られそうな局面なので、その一枚を使いもう一枚も桂との交換になると言うことで、通常は味が良いとし疑問になることはあまりない。ただ、ソフトによると▲7四角成と金を取った方が良いとの判断だが、△7七桂不成から王手でボロボロ取られるので、人間的には引きたいし引く手を考えるのは自然。

本譜は、形勢が何度か入れ替わったのかもしれない。それでも最後は、持ち駒を受けに投入した後手の攻めが遅くなったのを見て反撃、きれいな即詰みで先手山崎八段の勝利となった。

なお、終盤の局面から勝った先手玉の方を詰むように作成したので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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