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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年2月15日出題)

第787問(2021年2月14日 杉本昌隆八段-稲葉八段戦)
(問787-1)
先手杉本八段、後手稲葉八段で戦型はゴキゲン中飛車。6筋で双方の銀が向かい合う形から後手が穴熊にもぐろうとした手を見て先手が動く。後手は一枚穴熊でも▲5四で銀交換が行われ、先手の飛車が八段目から動いた瞬間に△8六歩から△8八歩と反撃。下図はその△8八歩をそのままに△2四の角も取りになっている状況で▲5四の飛車に今△4三金と当てたところ。ここではどのように指したら良いか。先手の指した次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問787-2)
ずっと難しい形勢が続いている。下図は後手から見て金香交換の駒得。但し▲1九香と据えられると常に▲1三香成からの強襲を見られており油断はできない。ここで後手の指した次の一手は何か?△4九銀からの攻め合いも考えられるところだが実戦はここで受けの一着を指した。この局面で指された実戦的な負けにくい一着とは?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問787-1解答)「相手の手に乗って飛車で歩を払う」
角を取るのは飛車を取られてこれはまずい。と言うことで飛車は引く一手だが、▲5九飛と引くと割り打ちこそないが、角を逃げられた後△8九歩成が残る(部分的には▲同角△8六飛▲7八金のような受け方もあるが、金が離れるので良くないことも多い)。そこで実戦は▲5八飛と八段目に引き、△4九銀に▲8八飛と幸便に歩を払った。見ている時は、居飛車も歩切れなので振り飛車も十分にやれるかと思っていたが、玉が薄いということは見た目以上に勝ちづらかったのかもしれない。

本譜は角を逃げられた後、△2四歩に▲1四銀と切り込んで穴熊の玉頭を攻めた。そして▲1九香と二段ロケットを据えた局面が第2問である。

(問787-2解答)「穴熊再構築の金投入」
ここで△2三金打とここに一枚金を入れたのが手厚い一着だった。(振り飛車側から見て)局面によっては一枚持ち駒を使わせた(攻めが遠くなった)とも言えるが、玉の側の金駒はほとんどマイナスになることはない。それでも歩切れなので、後手からどう動くのかと思っていたが、△2五歩から△2四角とゆさぶり△4五歩を見せ、先手の受けに遠く△8七銀が驚きの攻め方だった。

本譜は、この遠い銀を活躍させられるかどうかということになり、振り飛車は動かざるを得なくその攻めを正確に受け止めると、最後は飛車取りに構わず先手玉に襲いかかり後手稲葉八段の勝利となった。
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