将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ

NHK杯に見る受けの手筋

(2021年3月8日出題)

第790問(2021年3月7日 山崎八段-斎藤慎太郎八段戦)
(問790-1)
先手山崎八段、後手斎藤八段で戦型は相掛かり戦。先手は腰掛け銀、後手は早繰り銀に出て、△7五歩から小競り合いが始まった。下図はその中盤から終盤へ入る局面。一度交換した銀を▲5六へ桂取りにしながら受け、その桂を守って△6四歩と突いたところ。盤面全体を見れば▲1五歩とか▲6六歩に目が行く。しかし▲6六歩は△7七歩があるので・・・とこの周辺の手は考えを打ち切りそうだが。ここで指された先手の次の一手は何か?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問790-2)
終盤は形勢が二転三転したのかもしれない。壮絶な攻め合いの中、攻守が交錯し難解な局面は続いた。下図は今△6五の桂を食いちぎり▲2六桂と控えの桂として据えたところ。後手からの攻めは△8七の地点へ数の攻めだが、そうすると金か銀が手に入ることになり、それを見越しての控えの桂。そこでここではどのように指したら良いか。▲3四桂と跳ばれてはうるさいということになれば受ける手はそれほど多くない。ここで指された後手の次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問790-1解答)「敵の打ちたい所へ打て・・・場合の受け」
実戦▲7七歩がなんとも渋い実戦の一着。△7七歩があるから、と言っても実際にその地点に歩を打つことはほとんどない。と言うのも、相手に歩がたくさんあれば△7六歩から無理矢理こじ開けられるし、打った筋に歩は使えなくなるし、さらにこの場合は角も使えなくなるからだ。普通は筋が悪く緩手になることも多いこの歩だが、ここでは次に▲6六歩と▲1五歩を見せて相手をせかしている”場合の手”と言える。

本譜は▲6六歩を防ぎながら8筋からの攻めも見て△7五銀と打ち、▲1五歩から攻め合いになった。その後双方攻めに受けに簡単には終わらない戦いが続いているのが第2問である。

(問790-2解答)「桂頭の銀定跡なり」
▲3四桂と跳ねられると金取りになり、その金を逃げると▲5二成香が厳しい。と言うわけで、ここで跳ねさせる訳にはいかない。そしてこの地点を受けるとすれば、「桂頭の銀定跡なり」の格言通り△2五銀と受けるのが正しい受け方となる。ただ、銀を使ってしまうので、戦力不足になる可能性もあり当然攻めとの兼ね合いで受けも考えなければいけない。

本譜は▲5二成香から後手玉に詰めろがかかるかどうかという勝負になり、感想戦で先手が攻めを間違えたと言っていたように形勢は揺れ動き、結局最後は後手玉に詰めろがかからなくなり、後手斎藤八段の勝利となった。
先週の問題へ/来週の問題へ

将棋タウン(ホーム)へ/受けの手筋表紙へ