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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年3月15日出題)

第791問(2021年3月14日 稲葉八段-佐藤天彦九段戦)
(問791-1)
先手稲葉八段、後手佐藤九段で戦型は後手の三間飛車。序盤の駆け引きの後、後手が角道を止めたノーマル三間飛車に振ると、先手は左美濃に構えた。その後、後手の石田流に▲4六歩と仕掛け銀交換して戦いが始まる。下図はその中盤から終盤へ入るところ。今、▲4四歩と打ち飛車の横利きを止めたところ。この△3四の飛車の横利きが止まると▲5四歩や▲6五桂などの攻めが厳しくなる。そこでここではどう指すのが良いか?後手の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問791-2)
上図から、先手には踏み込む手もあったようだが、自重し局面は一進一退。しかし下図、流れは急になり盤面全体に駒が当たっている。先手からの▲5四歩の王手に今7三桂と受けたところ。▲6七の金をこのまま取られる訳にはいかないのでこれを受けなければならない。ここではどうするのが良いか?ここで指された先手の次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問791-1解答)「飛車を押さえ込む銀」
初心者の人には、突かれた歩に対しては同歩と取ることから教えるが、強くなるに従い反発してその歩を緩手に出来ないかも考えることになる。ここで△同歩は素直過ぎる手。▲5四歩や▲6五桂が厳しく耐えきれなくなりそうだ。そこで△4五銀がここでの第一感。すぐに飛車が逃げれば△4四飛と歩を払うのが味が良くそれは先手が押さえ込まれそう。

本譜は▲4三歩成を利かせてから▲4九飛と一旦矛を収めた。後手は角を追い、長くなるかと思われたがこの押さえ込みの銀にアタックし急に激しい戦いになったのが第2問である。

(問791-2解答)「金は引く手に好手あり」
金頭や飛車頭、さらには玉頭を叩かれることは良くある。そしてその時、取るのか逃げるのかは常に悩ましい。ただこの局面の▲同金は△5七銀の打ち込みが厳しく良くない。「金は引く手に好手あり」という格言は、普通はこのように叩かれた時に使うものでもないが、やはり金という駒は、下にいるほど利きが強くしっかりしている駒だ。

本譜はそれでも△5七銀と踏み込んで来たが、これがどうだったか。今度は先手から▲6二歩と金頭を叩き、△同角にさらに▲6三歩と角頭を叩いて後手陣を乱した。そして大きな駒の取り合いが一段落すると先手優勢に。最後は長手数の詰みをきっちり詰めきり先手稲葉八段の勝利となった。
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