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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年8月9日出題)

第812問(2021年8月8日 斎藤慎太郎八段-出口五段戦)
(問812-1)
先手斎藤八段、後手出口五段で戦型は角換わり腰掛け銀。現代流の囲いに、仕掛けのタイミングを計って後手が△6五歩と突き戦いが始まった。この将棋はいろいろな意味ですごい一局と言える。まず、どこまでが研究だろうというくらい猛烈な勢いで時間を使わずに両者突っ走り20分くらいで終盤戦に突入。将棋の内容は、後手の攻めに先手の受け。少しでも間違えると寄ってしまうか攻めが切れるという状況の中、AIの評価値はほぼ互角のまま推移。しかし下図、少し前から先手に傾き始め、今△7六銀とかぶせて打ったところだが、ここで先手に決め手とも思える一着が出る。ここで先手はどうしたか?ここからの実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問812-2)
上図、先手勝率が80%を超え、これは決まったかと思える局面だったが、放送開始からまだ半分の約40分。この後どうなるのだろうと思っていたら、先手が決め手を逃しすごいことになった。それでも下図、▲8六同龍と銀を取り、△同銀成には後手玉が詰むかどうか、という局面に見える。しかしここでは、△8六同銀成と龍を取る前に、後手を勝ちに導く好手がある。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問812-1解答)「王手で攻め駒を抜く筋で凌ぐ」
ここで、▲5一角と打ち、△3一玉に▲3三角成とした手順が盤面全体を見た凌ぎの好手順。▲5一角もそうだが、△3三同桂と馬を取ると、▲8七銀に△同銀成でも△7七銀成でも王手成銀取りで自陣に龍を引きつけ先手必勝になる。これで先手勝率90%弱。さすがに見ていても決まったと思えるところだが、そんなに簡単ではなかった。

本譜△8九金もすごい一着。▲6八玉には△6七歩があり、実戦は▲同銀と金を取ったが、龍取りを防いでから△3三桂と馬を外す。先手優勢は変わっていないものの、際どい二択三択を先手に迫る手で後手猛追。最後、明快な先手勝ちの手順もあったが(感想戦で)、それを逃すと逆転。それでも第2問は、次の一手が指せないと再逆転する際どい局面でもある。

(問812-2解答)「王手で詰めろを防ぐ」
△9一飛と打った手が、盤面を広く見て王手で詰めろを防いだ好手。▲9二歩と打たれるが、そこで△8六銀成と龍を取れば、この△9一の飛車が一段目に利いていて後手玉は詰まないと言うわけ。ただ、本当に詰まないのかどうかはAIの評価値を見ているから言えるので、実戦なら何かあるのではないかと最後の詰みを考えるところ。

実際本譜も▲2二銀△同金▲1四歩と後手玉を詰めに行った。しかし、やはり△9一飛が良く利いて後手玉は詰まず、先手の王手ラッシュをかわし切り後手出口五段の勝利となった。
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