第811問(2021年8月1日 石井六段-郷田九段戦) |
(問811-1) 先手石井六段、後手郷田九段で戦型は相矢倉。ただ最近の流行ではなくガップリ組み合う昔ながらの力戦調。その後、角交換になり後手の攻め、先手の受けという形で長く難しい中盤戦が続いた。下図はその終盤。76手目の△6六歩は痛打に見えたが、それでも後手65%くらいで決め手ではなく、まだまだ難しい。今、△9七歩成と端にと金を作られたところ。ここではどのように指すのが良いか?盤面全体は漠然としていても指しておきたい手がある。先手の指した次の一手は何? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問811-2) 上図からAIは一旦互角に戻ったが、細かい攻めが入り再び後手に形勢が傾いた。しかし後手陣も△4三の金を馬で狙われており、今▲2三歩と叩かれたところは相当に気味が悪い。評価値は80%で後手優勢でも、しっかり勝ちきるには正確な読みを必要とする。ここで指された後手の次の一手は? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問811-1解答)「玉の早逃げ八手の得」 ▲6八玉と早逃げしたのが実戦でここではこう上がりたいところ。・・・と去年までなら何の疑問もなく書いていたが、AIの評価値は早逃げした瞬間、さらに後手勝率のパーセントが少し上がり70%になった。しかし人間的にはやはり危険地帯から逃げた方が勝ちやすく、特に下段にいる玉は馬や金銀の方へ逃げたいし、その方が負けにくいと言える。 実際、本譜もこの後再び互角に戻っている。しかしそこを抜け出したのが後手。104手目の△5五角が厳しく後手優勢。それでも飛車を見捨てて後手玉に狙いを付け、逆転を狙って▲2三歩と飛車頭を叩いたのが第2問である。 |
(問811-2解答)「攻防に逃げる」 ここは△5二飛が▲6八玉に狙いを付けつつ幸便に逃げられる場所。▲2三歩は飛車で取ると▲3二銀があり、玉は▲4三馬がある。実際はそれでも後手が悪いと言うことではなさそうだが、もっと良いのは△5二飛。▲2二銀の王手さえ問題なければ、本譜のように△5七歩成からの攻めにも使えて勝ちが早い。やはり終盤での攻防手は効率の良い手と言える。 本譜は△5二飛にも▲3二銀だったが、△5七歩成から△3八飛が実戦的な勝ち方。△3八飛では△6九金〜△5九飛という難解な詰みもあったようだが、△3八飛で銀合いを強要し、△6五金が盤石な勝ち方で後手郷田九段の勝利となった。 |
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