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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年9月6日出題)

第816問(2021年9月5日 糸谷八段-丸山九段戦)
(問816-1)
先手糸谷八段、後手丸山九段で戦型は一手損角換わり。先手の早繰り銀に後手は△7二金〜△6二玉型の右玉。▲3五歩から先手の銀はさばけたが後手も△9五歩から端を攻めて難解な中盤戦に突入。下図は今△9五香と走ったところ。初心者同士の将棋だと、▲9七香△同香成▲同桂△9六歩となり先手桂損の進行を良く見るが、ここでは手筋の受け方がある。ここで指された先手三手一組の手順は何か?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問816-2)
上図から先手も反撃を開始し盤面全体に及ぶ激しい戦いが繰り広げられた。そして角も龍も取りになっている状態で▲7二銀と打ち込み後手陣を急襲。その最後の決め手とも思える▲5二金が放たれる。次の一手の問題集に出てくるような一着で、AIの評価値がなかったら受けがないと思われるような局面。しかし、評価値は後手優勢の86%なので受けきれるという判断。△9七角▲6九玉の交換や実戦は△6七香▲同金左の交換はあるが、部分的に後手玉を受ける三手一組の手順は何か?ここで指された後手玉の詰めろを防ぐ手段は?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問816-1解答)「歩の打たれる場所を消す端の基本的な受け方」
ここでの実戦は▲9六歩△同香に▲9七桂。▲9七香と取っても△同香成▲同桂で、単に▲9七桂と取ったのと同じく△9六歩を打たれてしまう。その△9六歩を防ぐために「敵の打ちたい所へ打て」と先に▲9六歩と打つのが手筋。△同香に▲9七香では同じだが、桂で取ることで駒損を防いでいる。この三手一組の手順は覚えておきたい。

本譜は△9七香成から△8五桂と後手が攻め、先手も▲9二香成△4一飛に▲4三香の強襲。そして受けがあるのかないのかという際どい攻防が第2問である。

(問816-2解答)「金を取って早逃げで脱出」
問題図、龍を取るのは▲8三桂の一手詰み。△8三銀や角で桂を防いでも、▲4一龍から三手詰。△5二同金は▲同龍で完全必死。△5二同銀も▲4二龍で受けなし・・・かと思えるところだが、△同銀▲4二龍に△6二玉がこれしかない受け。と同時にどうもこれで凌いでいるらしい。途中、△6七香と際どい王手を入れたが、その瞬間、先手優勢79%になり、▲同金左と取った瞬間、再び後手優勢90%に変化。先手玉も関係する様々な変化が内包された難解な終盤戦。

本譜は▲7二歩成から▲7三と〜▲5二龍と迫って激闘の終盤戦はこの後も繰り広げられた。しかし最後は、自玉を安全にした後手が先手の入玉を阻止し先手投了、後手丸山九段の勝利となった。
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