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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年9月27日出題)

第819問(2021年9月26日 渡辺和史四段-千田七段戦)
(問819-1)
先手渡辺四段、後手千田七段で戦型は相矢倉。お互いが4筋6筋の位を取り合う急戦調の矢倉だったが、角を交換するとその後はじっくりとした長い駒組みに入った。そして、先手が端に狙いを付け香交換後飛車の成り込みに成功すると、後手も手持ちの香を銀と交換し、先手の玉頭に狙いを定めた。下図は、△8五歩と継ぎ歩のような合わせ歩を指したところ。ここで先手はどのように受けたか?ここからの実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問819-2)
上図から形勢が何度も入れ替わる難しい戦いが続いた。下図は▲1一にいた龍を▲1二龍と一つ引いて、間接的に△5二玉を睨んだところ。こうした所では、まさに手筋と言われる一着がある。ここで指された後手の次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問819-1解答)「玉頭継ぎ歩攻めの受け方」
問題図から良くある形としては、▲7九玉△8六歩に▲8八歩とか、▲8五同歩△8六歩に▲7九玉とかいずれにしても危険地帯から玉を避難させることが多い(その前に▲8二歩や▲8三歩など飛車の位置を変える手も手筋)。
実戦の進行は▲8五同歩△8六歩に▲8四香と香で受けた。香を使ってしまうのはもったいないが、そのかわりに先手を取ることが出来、また▲7九玉〜▲8八歩と受けた形より広い利点もある。

本譜は△5一飛に▲1五馬と出て難解な終盤の攻め合い。AIの評価値は何度も細かく揺れ動き、形勢不明の戦いが長く続いているその最中が第2問である。

(問819-2解答)「一歩で一手を稼ぐ手筋」
▲1一龍を▲1二龍と一つ引くのは龍の働きを良くする一着。この龍に働きかけ、△1一歩がまさに手筋で、▲同龍なら「一歩で一手を稼いだ」ことになる。もちろんそれではあまりにも先手が辛いので、実戦は▲1一同成香と成香で取ることになったが、成り駒を一路遠くへやっただけでも一歩の効果は十分にあると言える。

本譜はこの後も、どちらが勝つのか分からない難解な終盤戦が延々繰り広げられた。そしてそこを抜け出したのは後手。桂を食いちぎり、先手玉の寄せを目指すと、最後は入玉されないよう細心の注意を払い、先手玉を詰めろから即詰みに討ち取り後手千田七段の勝利となった。
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