第820問(2021年10月3日 稲葉NHK杯選手権者-青嶋六段戦) |
(問820-1) 先手稲葉NHK杯選手権者、後手青嶋六段で戦型は居飛車穴熊対三間飛車。この将棋はものすごい熱戦になった。総手数225手で時間内に収める為に一手一手の時間を短くして放送。中盤の仕掛けまでも長かったが、終盤に入ってからもお互いが相手の手を消し合い、形勢が何度も入れ替わっている。 その終盤も受けの手は随所に出ているが、ここではもう少し前の局面から問題を取り上げてみた。下図は先手がうまく立ち回り、香得を果たしたところ。漠然としているがここで後手の指した次の一手は何か? (答えはこの下に) |
(難易度・・・ |
(問820-2) 上図は101手目。ここから長い終盤戦に入り、下図は152手目。途中先手の穴熊もかなり攻められ弱体化したが、そこから馬を引きつけ再び固くなっている。今、▲9四桂と逆襲し、△同香▲同歩△同銀と進んだところ。ここで指された先手の次の一手は?何かを受けなければいけないという訳ではないが、穴熊らしい受けの一着と言えば? |
(難易度・・・ |
(これより下に解答)
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(問820-1解答)「攻める前に馬筋を止める歩」 ここでは、アマでも有段者ならまず△4四歩とここに目が行く。▲6五や▲7五の歩は出来れば払いたいが、△6五龍と払うと▲6六香がある。攻めるなら、△8六歩からの継ぎ歩や△2四角と角を使う手なども見えるが、やはり馬を引きつけられると穴熊がより固くなる。と言うことで、△4四歩が中終盤の筋の一着。受けの手という訳ではないが、攻める前に指しておきたい一手と言える。 本譜は▲3三馬と引き、△8六歩▲同歩△8五歩に▲6四香と打って攻め合い。AIの評価値はずっと先手有利から優勢。しかし、穴熊の玉頭に食い付かれると本当に先手良しなのかと思われるような局面は続いた。そして、一進一退の攻防が延々続いているその激闘の最中が第2問である。 |
(問820-2解答)「穴熊の再構築-空間を埋める」 後手からの攻めとして△9八歩〜△8六桂という手がある。もちろんそれだけで潰れる訳ではないが、こうした攻めを未然に防いだのが攻防にもなりそうな▲9八香。穴熊では、攻められる前に一枚金や銀を入れておくことは無駄にならないが、ここでも一着▲9八香が入ってより固くなった。但し、攻めの駒は少なくなるので駒を守りに使うことで攻めが切れてはまずい。 本譜は実際、先手の攻めが細くなり、後手が入玉を目指すとずっと良かった先手の形勢は逆転した。しかしその後は何度も揺れ動く激戦に。ここから70手余りの終盤戦は二転三転し、最後は玉を押し戻した稲葉NHK杯選手権者の勝利となった。 |
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