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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年10月11日出題)

第821問(2021年10月10日 飯島八段-広瀬八段戦)
(問821-1)
先手飯島八段、後手広瀬八段で戦型は相掛かり戦。先週に続きこの将棋も時間いっぱい(と言うより考慮時間を削って放送されるような)熱戦になった。しかも終わり方は前代未聞の終局。考慮時間が省略されているのでどこで時間を使ったかははっきりしないが、先手の研究手とも思える局面から先手がリードを奪い序盤から一気に終盤に入った。下図はまだ41手目で、この将棋は174手までかかっている。そしてここでの形勢はすでに先手良しの70%。実際、次の▲3三角成が狙いで△3二歩と受けても▲3四歩がある。そこでこうした所では、どのように受けるのが良いか?良く出てくる三手一組の手筋とは?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問821-2)
上図から100手以上先の下図は終局直前の158手目。AIは先手優勢だが、この評価値がないと一手詰を見せられ慌てそうだ。ここではどう受ければ良いか?ここを凌いで詰めろが来なくなれば勝利は間近。先手の指した次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問821-1解答)「一歩で一手を稼ぐ筋」
実戦は△3四歩▲同飛に△3二歩。単に△3二歩と打つと、すぐに▲3四歩と打たれて桂損が確定してしまう。このような時、△3四歩と打ち、▲同飛とさせてから△3二歩と受けることで、一旦は▲3四歩を防ぐことが出来る。もちろんこの後、飛車を動かせば▲3四歩を打てるが、その飛車を動かす一手を一歩で稼いだことになる。

本譜も▲2四飛から結局▲3四歩は入って先手の桂得になった。そして先手有利の局面は長く終盤戦を戦っていたが最終盤は混沌となり、形勢が何度か入れ替わったようだ。それでも最後は先手が抜け出しAIも80%越えで、勝ちまでもう少しとなっている局面が第2問である。

(問821-2解答)「大駒は近づけて受けよ-中合いの妙技」
ここで▲3六歩と打ったのが実戦。一つの手筋ではあるが、単純な中合いと違いちょっと見えにくいだけに妙手と言える。もちろん単に▲4六金と打ってもまだどうなるか分からないが、△7三角を打たれると忙しい。実戦▲3六歩に△同飛成▲4六金と進めば、これも一歩で一手を稼いだ勘定になり、先手大いに優勢。仕方ない△3七龍に▲8六香と据えて勝利まであと少しとした。

しかし本譜は最後にすごい結末が待っていた。先手勝勢90%を超えた局面から決め手に放った桂が大ポカ。その瞬間後手勝勢90%越えに大逆転。桂を取られると先手玉が詰むことを見落としたもので、改めて受けに回ったが時既に遅く先手玉は必死となり後手広瀬八段の勝利となった。
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