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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年11月15日出題)

第826問(2021年11月14日 斎藤明日斗四段-菅井八段戦)
(問826-1)
先手斎藤四段、後手菅井八段で戦型は居飛車対振り飛車。先手は急戦、持久戦両方を見据えながら駒組みを進め、後手も先手の駒組みを見ながら、三間から向かい飛車、さらに四間に振り直し戦機をうかがう。そして、先手が仕掛け後手がさばく形で互角に進行。ただ、評価値は少しずつ先手に振れ始め終盤へ突入。下図は今▲3二飛と金取りに飛車を打ち下ろしたところ。もちろんこの金を受けなければならないが、こうしたところの受け方はどうすべきか?後手の指した次の一手は何?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問826-2)
上図から評価値は少し振れながらもまだまだ難しい終盤戦は続いていた。そして下図、今△4六桂とこれも手筋の攻めを放ったところ。しかしこれは疑問だった。ここでは先手にうまい受けがある。時々出てくる筋なのでこうして問題に出されれば難しい手ではないが、実戦だと見落としやすい。ここで先手優勢になる次の一手は何か?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問826-1解答)「金底の歩、岩より固し」
△6三銀直とかの受け方では薄く、△6一銀打では戦力不足になりそうだ。こうした所では、余程相手の攻めに使うことがない限り△5一歩と金底に歩を打っておくのが固い。もちろん、香を取られ、上から打たれるのは分かっているが、それでもその間の手を稼ぎ攻めに回ることが出来る。

実際本譜も▲1一角成から取った香を▲5六に打つことになるが、後手としては(この部分だけを見れば)金香交換の駒損でも手数がかかっているし、他で得をすれば△5一歩の意味は大きい。ただこの後数手に渡り後手の手がおかしかったのかもしれない。徐々に先手がリードし、そして疑問の△4六桂が打たれたのが第2問である。

(問826-2解答)「飛車を捕まえる手段」
このまま△5八桂成▲同金△6九銀を喰らってはいけないが、▲5九金打と受けるのは、△2九飛成と逃げられていて依然▲5八の金は動けない。しかしこの局面は、▲3九金と言う手があった。このように相手の飛車が敵陣で捕まる局面というのはあまりないだけに見落としやすい。局後、菅井八段が見落としであることを正直に言っていたように、プロでも盲点に入る事があるのだから、アマの場合はどちらも気づかずに通り過ぎることも多い。しかし知っていて指せれば優勢になれるということでもある。

本譜は、△5八桂成▲4九金△同成桂と後手ももたれながら指し進め、完全には切れないように追走していく。しかし、金香交換から銀桂交換と駒得すると、今度は一転受けにまわり盤石、後手の攻めを切らし先手斎藤四段の勝利となった。
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