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NHK杯に見る受けの手筋

(2021年11月22日出題)

第827問(2021年11月21日 佐々木大地五段-山崎八段戦)
(問827-1)
先手佐々木五段、後手山崎八段で戦型は相掛かり戦。後手は△7二銀から△7四歩とこの歩を取らせる作戦に出て、先手もそれに乗ると、先手の一歩得対後手の手得という進行になった。その後、先手がヒネリ飛車を目指すと後手の陣形はバラバラで模様の取り方の難しい将棋に。今、▲6五桂とチャンスと見て桂を跳ね出したところ。具体的には▲3三角成から▲7三銀の打ち込みがあるので、まずこれを受けなければいけないが、それ以外の攻めもいろいろ見える。ここで指された後手の次の一手は何か?ここからの進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問827-2)
上図から先手が踏み込んで一気に終盤戦になるも評価値は互角。しかし、時間つなぎに指した手(感想戦)が疑問で、先手が有利に立った。下図は今▲3七桂と力をためて跳ねたところ。ここで後手はどう指すべきか?多少不利でも一応駒得(後手から見て飛銀交換)なのでここは崩れずに辛抱したい局面。ここで指された後手の手筋の一手とは?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問827-1解答)「駒は中央へ向かえ」
▲4四歩と突けば▲3三角成は防げるが、今度は▲6六角から▲8四角を狙われる。そこで△7五銀と飛車に当てて、▲5六飛に△6四銀と引いて受けたのが実戦。このように駒は中央へ向かって動いた方が働きは良くなる。もっとも、この手順自体はすぐ見えても、ここで▲5四飛と王手で出られるので大丈夫かと思われそうだが、△4一玉と寄れば、先手の攻めも軽く難しいと判断してのこと。実際この局面の評価値はほとんど互角。途中50%という全くの五分の局面まであり、難解な終盤戦だ。

ただ、形勢互角と言っても、人間同士で時間のない将棋では普通は受ける方が辛い。ここでも疑問手を出したのは後手で、それをとがめ先手有利から優勢へ向かって指し進めているのが第2問である。

(問827-2解答)「当たりになる駒を前もってかわす」
ここでは△3二金がいわゆるひと目の筋。▲3五歩や桂跳ねに当たる場所にいる駒(特に金や銀)は、前もってかわしておくのが受けの手筋だ。ただし、本譜はこの前に時間つなぎで指した△8六歩があり、形勢を損ねている。感想戦では、その手で△3二金と引くか△5四の銀をかわしておけば、と話されていた。

本譜は、それでも▲3五歩が攻めの筋。後手も遅ればせながら△5五銀から△8五飛〜△4四銀と必死に受けるが、角切りから、一気に後手陣に襲いかかった先手が最後は即詰みに討ち取り、先手佐々木五段の勝利となった。
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