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NHK杯に見る受けの手筋

(2022年3月14日出題)

第842問(2022年3月13日 豊島九段-羽生九段戦)
(問842-1)
先手豊島九段、後手羽生九段で戦型は相掛かり戦。序盤から後手が角を打つ最新形となり、それを先手も研究手で返し難解な中盤戦になった。下図はそこから進み先手が一本取った形で、AIも先手65%と有利の判断。ここで後手はどうしたか。この将棋は、少し悪い局面での後手の指し方が秀逸で参考になる手が多かった。ここで指された後手の指した次の一手は?実戦の進行を三手まで。
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問842-2)
この将棋は先手良しの局面は多かったものの、後手も辛抱し何度も互角に戻る大熱戦になった。下図はその終盤。今△3八銀と両取りをかけられている。ここで先手はどのように指したら良いか?盤面全体を見て考えることになる次の一手は?ここからの実戦の進行を三手まで。
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問842-1解答)「陣形を整備してチャンスを待つ」
有力な攻め手がない以上、ここで△3一玉は考えられる手だ。ただ続く▲4六銀に△4二銀と引いたのが実戦で驚きの一着。すでに角金交換で駒損しており攻め駒は少ない。このような場合、守り駒も攻めに使いたい場面が出ることもあるのでこうした辛抱は指しづらい。しかし、これで差は大きく動かず65%前後で推移していた。

この後も先手有利の局面は長かったが、後手の辛抱が実り一時互角に。そして、人間的には優劣不明の大熱戦が続いているのが第2問である。

(問842-2解答)「飛車を取らせない、成らせない手順を選ぶ」
局面によっては「両取り逃げるべからず」という格言が当てはまることも多い。しかし、この局面は先手陣が飛車に弱い。と言うことで、実戦は▲2八飛と銀に当てて逃げ、△4七銀不成に▲5五銀と進んだ。先手の陣形によっては、▲5七金や▲4八金など金を助けた方が良いことも多く、終盤では飛車を逃げることは少ない。ただこの局面は、序盤なら当然でも終盤では珍しい飛車を逃げるのが良いと判断。さらに▲5五銀も形で、▲5七銀では先手になっておらず△5六歩などもあり▲4五銀は切られる手が残る。

本譜は、△8四飛▲5四歩△7二金でまだまだ難解な熱戦は続いた。そしてこの後も二転三転したが、最後は後手玉必死に先手玉詰まずとなり、先手豊島九段の勝利となった。
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