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NHK杯に見る受けの手筋

(2022年3月7日出題)

第841問(2022年3月6日 松尾八段-深浦九段戦)
(問841-1)
先手松尾八段、後手深浦九段で戦型は相掛かり戦。先手が飛車先を保留すると、後手は飛車先を切って中段に浮いた。そして、早い段階で先手が桂を跳ねて仕掛ける。下図はその直後。角を交換し、今▲5五角と打ったところで▲9一角成と▲4四角を見ており同時に受ける手はない。しかしもちろんこの局面はまだ互角。ここで形勢を悪くさせないためにはどのように受けたら良いか?後手の指した次の一手は?
(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問841-2)
上図からしばらくは互角だったが、▲7五香から▲7四歩と力をためたあたりから先手良しになっていった。下図は△4六歩と銀頭を叩かれ、▲同銀に△6五角と攻防の角を打たれたところ。飛車取りにはなっていても、攻め合うなら▲7三歩成も考えられなくはないが、さすがに飛車は大きいと見て実戦もこの飛車取りを受けた。ただどのように受けたら良いのか?ここで指された先手の次の一手は何?
(難易度・・・


(これより下に解答)

(問841-1解答)「後手になっても、馬の位置を悪くさせる」
解説でも言っていたが、ここで△7五歩と突き△4四歩を守るのが言われてみれば「なるほど」な一着。先に駒得したいので、つい△4五歩と取ってしまいそうだが、そうすると▲9一角成ではなく▲1一角成とこちらを取られてしまう。むろんそれでも難しそうだが、後手からみると▲1一に馬を作られるより▲9一に馬を作られた方が良い。やはり右側の駒を取られると先手の飛車を活用される可能性が高くなるし、△2一の桂、△3二の金が浮いていることもある。実戦のように△4四歩を守ると、▲9一角成と先に駒は取られるが、いつでも△4五歩で香損は取り返せるし、それならへんぴな方へ馬をやっておくことは大きい。

ただ本譜は、感想戦でも話されていたように4四のキズが大きかった。常に桂打ちを狙われると徐々に形勢が先手に傾き始め、後手の苦労している局面が第2問である。

(問841-2解答)「大駒は近づけて受けよ」
単に飛車を逃げておく手もありそうだが、先手に取っては大きな利かされとなる。そこで▲5六歩と突いたのが実戦でアマでも有段者なら第一感だろう。ただ△同角と取られ、▲4七金に△6七とは気になる変化。しかし感想戦でも並べられたように▲4八玉で凌ぐ読み。単に飛車を逃げて利かされるより強い受けでもある。

本譜は、△6五角と▲5六歩の交換だけでも利かしたと見て△7八とと金を取ったが、▲7三歩成からの攻め合いは先手優勢。最後は△4七歩という金頭の歩を放置して後手玉に必死をかけ、先手松尾八段の勝利となった。
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