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(1)形勢判断の基本要素
局面の形勢を見る時に、考えなければならない要素は、通常4つある。
それは、「駒割り、駒の働き、玉の固さ、手番」だ。この4つを一つ一つ見て、総合的に判断することになる。
もっとも、将棋を覚えたばかりの初心者の人に対しては、それほど詳しい形勢判断は必要ない。私が、初心者の人に対して、よく使う助言は、
「駒は、価値の高い方から、飛・角・金・銀・桂・香・歩となっているから、価値の低い駒と高い駒を交換すること。そして、大駒である、飛角を使えるようにすること」だけだ。
6枚落ちや8枚落ちで、初心者の人の負けるパターンを見ていると、たいてい大駒が押さえ込まれ、あるいは取られてしまっている。端を破り、香と金銀のどちらかを交換でき、さらに飛角が成れれば、破り方についてもう何も言うことはないと言える。後は玉の詰め方さえ分かれば(1手詰、3手詰)、その手合いは卒業となる。
初級者を脱し、中級から上級者の将棋を見ていて思うことは、「なぜ、ああも簡単に駒損してしまうのか」と言うことだ。銀ばさみにあったり、大駒を攻められ、まだ逃げておけば難しいのに、簡単に切って、駒損してしまう。攻めていれば安心なのか、駒損を平気でしながら攻めている姿も良く見る。やはり、駒割りに対する意識がちょっと薄いと思わざるを得ない。
駒割りに対する意識と言えば、有段者(初、二段)でもちょっと違うなと思ったことがあった。
終盤、逆転された将棋に対し、私が、「そこは、一旦駒を補充しておけば、優勢でしょ。」と言ったところ、「終盤は駒の損得より速度じゃないの?」と言われたことだ。
もちろん、この格言も正しいのだが、大事なことは、終盤に入ってさえも、「駒割りの判断基準は十分に生きている」と言うこと。
詰むかどうかと言う局面になったら、それこそもう駒の損得は関係ないが、それまでは、たとえ終盤であっても駒の損得は重要だと言うことを(有段者前後の人は)覚えておいて欲しい。
その駒の損得が形勢判断でも、もっとも重要なことなので、次ページから詳しく見ていきたいと思う。
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