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NHK杯に見る受けの手筋

(2016年11月28日出題)

第575問(2016年11月27日 広瀬八段-畠山鎮七段戦)
(問575-1)
先手広瀬八段、後手畠山七段で戦型は角換わり腰掛け銀。良くある相腰掛け銀の形から後手が△6五歩と突き越すとそれを見て先手が▲4五歩と戦端を開いた。これに△8六歩以下の細かい折衝を経て下図。今△7七角成▲同銀と進んだところで、後手は▲3五歩の対応を迫られている。ここで指された後手の応手は?三手一組の手順として実戦で進んだ次の三手は何か?

(答えはこの下に)
(難易度・・・


(問575-2)
先手が▲3四歩の銀頭の叩きから▲4五銀とぶつけ激しく攻めたのに対し、後手も△3九角と反撃した。下図、▲2四歩の取り込みが利くなら取りたいが、飛車を取られてどうか?ここで指された先手の次の一手は?

(難易度・・・


(これより下に解答)

(問575-1解答)「金を上ずらせる手筋」
ここで畠山七段の指した手は△4六歩。▲同金と取らせて△3五歩。つまり単に△3五歩では▲4五桂と跳ねられて存分に攻められてしまう。しかし△4六歩▲同金の交換があれば、△4五桂には△3七角があるという訳。また、金を上ずらせておけば、実戦もそうなったが、いつでも△3九角を狙うことが出来る。

実戦は、▲2四歩〜▲3四歩から▲4五銀とぶつけて後手陣に攻め込んだ。これに対して一度銀を取ってから△2三銀と引いたがこの辺りに疑問手があったのかもしれない(感想戦で)。第2問の△3九角で後手も相当に見えるが、その後の先手の攻めが厳しかった。


(問575-2解答)「数手後を想定した逃げ場所」
実戦は図のように一つ飛車を浮いた。しかし、この飛車だけを見れば、最も利きのない所で、部分的には良い場所とは言えない。しかし本譜、△5七角成に▲6八銀△4七馬となった局面を見れば、(▲2九飛のように)飛車に当たっておらず、また桂も守っている一番良い場所と言える。このように終盤では必ずしも筋の良い手、形の良い手だけが好手と言う訳ではなく、その局面ごとに読みを入れて、一番良いと思う手を指す事が大切だ。

それでも本譜は難しいと思ったが、▲7一銀の遠そうな攻めが厳しかった(このような形では時々出てくる)。飛車を縦に動かし、▲5二角から▲3四金と出ると、あっという間に後手陣に食い付き、最後は華麗な手筋も出て、先手の広瀬八段の勝利となった。

なお投了直前の局面から先手玉を詰む形で作成して見たので、「今日の実戦の詰み」もどうぞ。
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