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NHK杯に見る受けの手筋
(2006年8月7日出題)

第60問(2006年8月6日:先崎八段-三浦八段戦)
(問60-1)
一手損角換わりから棒銀に出た先手の先崎八段に対し、後手の三浦八段は4筋に飛車を振り、右玉に構えた。
中盤、後手陣営の一瞬のスキをつき、先手が攻めたが、それに後手が反撃する形で下図局面に至っている。ここで▲同銀は3七に歩又は桂に成られまずい。解説では、▲5七銀△3七歩成に▲2五飛から▲5五桂のような手順も話していたが、先崎八段の指した手は違った。ここで先崎八段の指した手を3手先まで考えて欲しい。


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問60-2)
中盤で先手がポイントを取り、終盤に入っても好手で形勢を広げた。ここでは、先手必勝で、攻めても受けても勝ちの局面。解説の木村七段は、「谷川九段なら▲5八飛と銀を補充して寄せに、丸山九段なら▲7八飛と受ける」というような解説をしていたが、アマチュアの場合、単に棋風の差(勝ち方の差)というより、ここではこう指した方が良いという考え方がある。
実戦で、先崎八段の指した手を当てるのではなく、寄せを読み切れなかったらどう指すべきか考えて欲しい。

(難易度・・・



(これより下に解答)

(問60-1解答)「攻めてきた瞬間に反撃」
解説にもあった一旦▲5七銀として飛車を切る手も有力だが、ここで先崎八段は▲3五歩とし、△同銀に▲4五香と打った。4七に歩が打ってあるため、この香打ちが非常に厳しい反撃となっている。
実戦は以下仕方のない△4八歩成に▲4三香成と駒得をし、先手優勢のまま終盤戦へ入った。


(問60-2解答)「読み切れなければ、一旦は受ける」
攻めても勝ち、受けても勝ちという局面は終盤ではたまに出てくる。しかし、それでも逆転することがあるのが、将棋の難しい所でもあり(逆転する方にすれば)面白いところでもある。この局面もまさにそうで、攻めても勝ちそう、受けても勝ちそう、ということで、プロなら勝ち方に棋風の出るところ。
先崎八段は、ここで▲6二とと金を取り、△同香▲6三金と寄せに出た。こうした寄せは、自玉の不詰めと相手の受けをすべて読み切らないとなかなか出来ないし、間違えると逆転することもある。
特にアマチュアの場合、今回のような難しい(変化の多い)寄せでは全てを読み切れないので、そのような場合は、一旦▲7八飛と逃げておくのが実戦的。これで、次にどのように攻められても(たとえば△6九銀打など)、それを手抜きし、攻めた方が、もし攻め間違っても修正のきくことが多い。
本譜、△6八歩成と飛車を取られても、後手玉は必死、先手玉は詰まないので”プロに取っては”明快な勝ちだが、アマチュアの場合、最後、王手された時、とん死しないように正確に逃げるなど、確かな終盤力が必要になる。もちろん、単なる安全勝ちでなく、そうした力を付けられれば、その方がより面白いし、それを目指すのもまた良いと思う。

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