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NHK杯に見る受けの手筋
(2007年6月11日出題)

第102問(2007年6月10日:井上八段-長沼七段戦)
(問102-1)
後手長沼七段の振り飛車穴熊に対し、先手の井上八段は銀冠に組んでガッチリ囲った。そして、双方の細かい動きから戦いが始まり、今△2五歩に▲3六飛と回ったところ。振り飛車の2筋突破が忙しいが、先手も▲3四歩から▲6五歩がありどちらが有効か難しいところ。
後手としては△2六歩を早く突きたいが、その前に長沼七段は軽い受けの一手でその後の局面をリードすることになった。その一手とは?


(答えはこの下に)
(難易度・・・



(問102-2)
一旦はリードした後手だったが、戦いの最中に駒損をしてしまい、逆に先手が良くなった。そして、今、角を切り、▲4一飛成と飛車を成り込んだところ。先手からは次に▲8四歩という非常に厳しい手があるのでこのまま押し切ってしまいそうに見えたのだが・・・。


(難易度・・・



(これより下に解答)

(問102-1解答)「先にかわす受け」
ここで長沼七段は△4四角と先にかわして受けた。この手がなかなかの好手で、▲3四歩には△3五歩の切り返しを用意している。この軽い受けで後手の模様が良くなったが、先手も△2六歩からの攻めを間に合わされてはたまらないので、▲5五歩と動き、難解な中盤戦が続いた。



(問102-2解答)「終盤は常に攻防の一手を考える」
▲8四歩△同歩▲8三歩と打たれてはまずいが、だからと言って△7二銀では受けただけの手になってしまう。もちろんそういう受けも良く出ては来るが、同じ受けるのでも、終盤は特に攻防の一手があればその方がなお良い。
ここで長沼七段は△3五角とその攻防の角を放った。これは7一の金にヒモを付けつつ、敵玉(7九)も睨んでいる。
本譜は以下▲8四歩△3八龍に決め手とばかりに引いた▲6八角があまり良くなかったらしく、△5五桂の勝負手を喰らって形勢は混沌。以下も後手に好手が出て、やや不利だった将棋を再逆転、絶対詰まない状況を生かして先手玉を寄せ切ってしまった。

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